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2008年2月

2008年2月28日 (木)

始まりはキングストンから・・・・・

 仕事場で一番大きな作品。

作品は2つのグループからなる鳥をモチーフにした造形。

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1つは“始まりはキングストンから”というタイトルのバイクのタンクをボディーに持った4体のグループ。

もう一つは“キッチンバード”というタイトルの2体組みの作品。

1998年、丁度10年前の事、NYはマンハッタンからウッドストックの知人のセカンドハウスを訪ねた。

途中、知人が気遣って寄ってくれたキングストンと言う街のアンティーク ショップ。

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そこで古いバイク用のランプを見つけた。

タンクの底に刻印された記述から推察すると1896年から1898年の間にアメリカで作られたモノのよう。

燃料缶、分厚いレンズ、方向を示すのであろう赤と緑の面取りをしたクリスタル、ススの着いた排気用のスリット・・・・・・。

真横から見ると、最も明るい光を発光する赤と緑のクリスタルが気に入った。

そのチャーミングなデザインに惹かれて買い求めた。

帰国後、貴重な期間を置いて作品の素材にした。

少し勇気のいる決断でもあった。

それは、そのままでも十分に美しく、存在感があった。

しかし、先ににある可能性の誘惑には勝てなかった。

ランプを鳥の顔に見立て、クチバシは大量に手に入れていた使用済みのソースボードと古いアイロンのカバーを使った。

頭にはケーキの型。

首はZライトと呼ばれる照明器具のアームを使用。

ボディーの素材はやはり“バイクのランプ”の繋がりで、廃車になったバイクのタンクを使った。

脚は知人の鉄の工房で、手を借りながら半端な素材をベースに製作。

その魅力的な赤と緑のクリスタルをアクセントにした。

顔と首は左右上下に可動し、豊かな表情を見せる。

幅60cm、奥行き750cm、高さ1500cm~2100cm。

仕事場では存在感のあり過ぎる(少し邪魔な?)大きさ。

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創作のプロセスは幾つかのメディアにも取り上げられた。

「この鳥は何の鳥ですか?」

「ん~?この鳥は具体的な種類の鳥をモチーフにしていません。これはオブジェでもあり装飾的な照明器具でもあります・・・・・」

当時の質問に答えている。

ユニークな照明器具を創りたかった・・・・そんな気持ちもあった。

その頃流行っていた“クラブ”の空間も意識した。

キングストンで見つけたバイクのランプ・・・・その出会いに感謝して、“始まりはキングストンから”の作品名。

成果に気をよくして、同じアイディアで3体の作品を連作した。

“キッチンバード(左側2体)”は、タイトルから推測出来るように調理器具など、素材の多くをキッチンで見つけたものベースにしている。

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クチバシのソースボードを意識して、ケトルと鍋をボディーに・・・・。

ケトルにはNYのトニーさんから貰った自動車のアンテナを組み合わせた。

鍋には羽に見立てたフライ返しを組み合わせた。

創作後の後味が良かった事を覚えている。

この一連の作品は、ランプが作られた丁度100年後、1998年、九州エネルギー館で開催した個展でお披露目した。

後、福岡は勿論、東京、北九州などの企画展やギャラリーで展示。

百貨店のショーウインドーも飾った。

この6体の作品は、今は静かに仕事場の片隅で次の出番を待っている。

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左側の頭部の飾りはシェーカーのパーツとソースボードの取っ手。

右側の作品は古いローラースケートの顔に、ソースボードとアイロンのカバーをクチバシに見立てた。

これらの作品で素材にした“使用済みのソースボードと古いアイロン”は後々も私の気に入りの素材として、他の作品にも登場する。

この素材の組み合わせは10年の期間を経て、小さな照明のオブジェとして熟成する。

※集合の写真は’03年に北九州は小倉のリバーウォークに期間限定でオープンした“再生堂ギャラリー”での展示。

 

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2008年2月23日 (土)

治具・・・・・・

 機素を正確に作る事はオートマタ製作の絶対条件。

正確に作る為にそれなりの技術と工夫が必要。

木工、金工、塗装、樹脂加工・・・・・私の場合どれも我流。

技術はあてにならない。

治具を作って稚拙な技術をカバーする。

本などを参考にしながら、私なりの工夫。

相手は手強く、いまだに悪戦苦闘。

治具・・・・・部材などを正確に加工する為に用いる補助道具。

鋸で正確に直線を切る為の治具などはホームセンターなどで入手可能。

作品によっては自作する必要がある。

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複雑な形のものに正確に穴を開ける為のモノ。

決まった位置に正確に部材をセットする為のモノ。

同じ寸法を何点か正確にカットする為のモノなど・・・・・・。

複数同じものを作る場合は治具を製作しておくと作業がスムーズに運ぶ。

私の仕事場で活躍している工具にプロクソンというメーカーの「サーキュラソウ」がある。

卓上用の小さな丸ノコ盤である。

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ブレード(刃)も何種類かあるのだが、小さい部材が多いので細かい刃の“木工用のブレード”を使っていた。

しかし、このブレードは少し硬い木や厚みのある部材になると悲鳴を上げる。

厚いと言ってもt20mmくらいなもの。

悲鳴を上げて煙まで出す事がある。

先日などは下に溜まった鋸屑に燃え移るのではと心配したほど。

少し揺れも出てきて、切った断面が正確でない。

替え時かなと思い、カタログで見つけていた“木工・アルミ用チップソウ(超硬)”を選んだ。

“超硬”にも惹かれた。

値段も木工ブレードの3倍。

期待が持てる。

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機会なので、安全で正確にカットする為の治具を製作する事にした。

プロダクト・デザイナーのH氏も自作の治具を使って魅力的な家具のモデルを製作している。

少し刺激されている。

榀ベニヤの裏に、本体にある2本のスライド用の溝に合わせて8mm×2mmの部材を接着。

ベニヤはこの溝に沿って前後にスライドする。

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刃の直角にあわせて、ベニヤの2方にt12mm×60mm の角材を取り付けた。

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刃がスライドの溝と平行とは限らない。

工具が正確に作られているとは考えない方がよい。

言い方を変えれば正確では無いと考えた方がよい。

ここを正確にしないと全てが狂う。

刃と手前の角材との直角を慎重に調整する。

何度か試し切りをしながら直角をあわせる。

手前の角材に定規をセットする。

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部材を置いて試し切り。

チップソウの切れ味も理想的。

直角の金手を合わせてみる。

嬉しいくらいに正確。

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角度をつけた別製のパーツをセットすれば、同じ角度のカットが容易に・・・。

小さいモーターといえども、切った材料が後に飛んでくるキックバック。

この治具だとそのキックバックも無く安全。

溝をスライドする部材が木なので、しばらく使えば狂いは出てくるだろう。

だが、ここしばらくは単純な作業も楽しめそう。

多分、このソウを以前から使っている人にとっては当たり前の事なのだろうが、少し嬉しい治具の完成。

 

 



   

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2008年2月19日 (火)

長谷川法世さん「ブンカ、ブンカ、ドンドン!祝おう会」 その2・・・・・

 伝統芸能 祝いの競演が始まる。

センターステージでは福岡旭会の筑前琵琶。

第一、第二とステージを換え、福岡民謡舞踏、博多券番、博多民謡・・・・・と伝統工芸の競演が続く。

そして、楽しみにしていた「博多町人文化連盟」によるオッペケペー節。

ままにならぬは 浮世のならい 飯(まま)になるのは米ばかり

ア オッペケペー オッペケペッポー ペッポッポー

不景気極まる今日に 細民 困窮かえりみず

目深にかぶった高帽子 ・・・・・・・・

何か現代にも通じる、時代の風刺。

法世さんは川上音二郎の顕彰をライフワークとしている。

音二郎は私と同じ1月1日生まれ。

人生を退くときは11月11日と決めていたと聞く。

1並び。

そして1911年11月の11日に亡くなった。

一昨年前の11月11日・・・・音二郎の100年忌へのイベント。

寒い雨の降る中、寸劇や3人の演者によるオッペケペー節が披露された。

その演者の中の一人が警固に本店を置く“馳走屋 石松”の主人、石松 聖氏。

石松氏はその何日か前にニューヨーク・マラソンを完走してきたばっかり・・・・・・。

マラソン前日に行われるエキビジョン・ランでは音二郎のコスチューム・・・・・陣羽織に袴、鉢巻を締め、日の丸の軍扇を持ったいでたちで走り、注目の的だったと聞く。

その勇姿はいま、彼の名刺の裏を飾っている。

その時もニューヨーク・マラソンの「ネタ」を織り込んで、楽しいオッペケペー節を熱演。

その石松氏が博多町人会のお嬢さん方“オッペケペー・シスターズ”を率いてオッペケペー節を。

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昔はギター片手に心に染みるブルースを。

最近の名刺の肩書きにお囃子、落語 三味線と・・・・・。

芸の幅を広げ、磨きがかかる。

法世さんへのエールを込めての熱演。

チャーミングな“オッペケペー・シスターズ”との息も合って、オリジナルなオッペケペー節に拍手喝采。

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その勇姿を見て、映像が重なった。

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会のアイコン、法世さん筆の音二郎は石松氏がモデルでは?と・・・・・・・。

石松氏は小林克也似です。

レモンケーキ、チーズケーキにコーヒーと食事はデザートに。

伝統芸能のデザートは博多仁和加振興会による仁和加。

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デジャートじゃ無かばい!メインばい!の声が聞こえそうですが・・・・。

衣装も立ち居振る舞いも最高です。

『法世さんは漫画ば描きようとたい。』

『いままでは画用紙に描いとったと。』

『今度、県と市から賞ば貰ったとバイ!』

『だけん、今はケント紙(県と市)に描いとう!』

ゆる~い芸に大笑い。(オチだけ覚えていたので、後はうろ覚えです。すみましぇん!!)

飛び入りも参加もあってゆる~い芸も少し暴走ぎみ。

後に居た法世さんは疲れも見せずに皆さんと大笑い。

私は最後の締めには参加せず、途中下車。

博多祝いめでた、博多一本締め・・・・・・。

人も芸能も食事も、ブンカ、ブンカ、ドンドン!!・・・・文化、文化、どんどん!!の夜でした。

法世さん、今日の夜をありがとうございました。そしてお疲れさまでした。

ますますのご活躍をお祈り申し上げます。

記念特別誌、銘菓 博多通りもん、内祝いの手ぬぐいのお土産を貰って会場を後に。

内祝いの手ぬぐいには法世さんの筆で“ありがとお”の文字と10匹の蟻。

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2008年2月 7日 (木)

贅沢な悩み・・・・・

 プチ手術から10日ほど。

腫れも鬱血も治まって、普段の顔に。

お見舞いのメールやコメントを頂いて恐縮です。

「お目舞申し上げます!」

シャレの利いたお見舞いのメールも。

ご心配かけました。

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休日返上で少し遅れをとった仕事の追い込みを。

予想していた事だったが、年末の「個展」のオーダーに手こずっている。

同じ作品を幾つか制作。

自由に創った一作目とはやはり「気持ちの乗り」が違う。

素材、寸法、仕上げ・・・・創ったモノに縛られ不自由になる。

この不自由さが苦痛になる。

「気持ちの乗り」を上げる為に新しい課題をつくる。

何か創造的な要素が有れば、苦痛は楽しみに変わる。

気になっていた詳細を変えたり、パーツの原型を創り直したり、治具を製作したりと・・・・・・。

一つを変えると、他も気になってくる。

多分、見た目は変わらないだろうが・・・・・・・。

効率の悪い事ばかりを選んでいるようだ。

が、「気持ちの乗り」は加速する。

益や効率・・・・・必要な事と分かってはいるが、違ったところで戦っている。

かけた時間や苦労より「楽しんだ気持ち」を受け取って貰えればと・・・・。

仕事を「楽しく」と言う贅沢な悩み。


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