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2009年3月

2009年3月30日 (月)

修理・・・・・・

Photo_2

人形の顔に布を貼っていた。

頭のラインに沿って布を切り込んだ時だった。

「ポッキ!」乾いた音を発てて樹脂で出来たハサミの平柄の部分が折れた。

一番使い慣れたハサミ。

10年以上前に手に入れたモノ。

時間の経過による樹脂の劣化?

切刃は小さな山が連なる砥ぐ事の出来ないタイプ。

が、手入れをしてきたので切れ味は当初と変わらない。

私の乱暴な使用にもよく対応してくれた。

近くの手芸店に連絡を入れたが同じモノの在庫が無い。

仕事も終わっていない。

他のハサミが無いわけではないが、この仕事にはこのハサミが不可欠。

ダメージは決定的だったが、修理を試みる。

柄の大きさと力のかかり具合から単純な接着ではすぐに壊れるのは目に見えている。

骨接ぎのように針金を加工したもので折れた箇所を繋ぐ。

紐、針金、テープ・・・・・それらで固定する事も考えたが、樹脂を使ってみる事にした。

ギブスのように・・・・・・。

粘土で型を作って、繋いだ部分に樹脂が被さるようにした。

Photo_3

写真の白い部分が樹脂で折れた箇所。

仕上げはルーターを使って整形。

Photo_4

使ってみると、繋いだ部分もしっかりと固定され、安定した使い心地。

これでしばらくは使えそうな気配。

修理には2時間ほどかかったが、作品の製作とはまた違った充実感。

Photo_5

使い込んだ愛用のハサミたち。

 

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2009年3月21日 (土)

着想・・・・・・・

 前作を製作していた時の着想。

まだ星を頼りに船を操っていた頃の話。

まだ見ぬ異国の地に思いを馳せて帆をはる冒険者たち。

航海は生死をかけての試みだったに違いない。

「海底2万哩」、「白鯨」、「パーフェクト・ストーム」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」・・・・・・海を背景にした物語が頭を巡る。

「海と冒険」・・・・ありふれたキーワードかもしれないが、素直な気持ちでそのストーリーを取り込んでみる。

Photo

荒れ狂う海に木の葉の様に舞う船。

つぎつぎと試練が襲う。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」の大イカは印象的だった。

西洋ではイカや蛸は「悪魔の化身」として恐れられていたと聞く。

ここでは大蛸を試練の象徴として登場させる。

素材は前作で試した廃材を使用した背景と市販の材料で作りこんだモチーフの組み合わせ。

Photo

岩場と土台は少し幅のある廃材と流木を加工。

フラットな小口が求められるのでテーブル・ソウで慎重に加工。

仕上げは白の塗料で塗り上げた後、スポンジで拭き取る。

波はアガチスを加工。

群青、空、白の塗料を海綿で叩いてマチエールを創る。

船は自身の作品「マザークロック」で製作した木造船を参考にする。

甲板と船底を組み立ててから5mm幅の白木を熱湯で曲げながら加工。

仕上がった船は全長7cm・・・・ドールハウスを作る作家の気分。

Photo_4

揃った本体のパーツ。


蛸の加工。

波同様に加工がしやすいアガチスを素材に選ぶ。

吸盤は丸棒のサイズ違いを加工と思っていたがサイズに限界がある。

やはりここが一番の難所。

部屋の隅に置いた箱から木の枝がはみ出ていた。

先細になっているこの枝を加工したら?

治具と目の細かい鋸を使って慎重に加工。

乾燥具合や大きさによっては樹皮が剥がれたりと多少の問題はあったが大方イメージのモノが出来上がった。

アガチスを貼り合わせて加工した足に着けてみる。

Photo_5

吸盤は大きいもので10mmほど、一番小さな吸盤は2mmも無い。

枝の選択は正解。

素材を限定しているので機素の収まりも都度考えていく。

その結果のデザインであり収まりでもある。

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Photo_2


Photo_8

蛸は船に襲うというよりか、踊っているようでもある。

それはそれで良しとする事にした。

動画で無いのが残念。

次回の課題も見えた実りの多い製作だった。

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2009年3月17日 (火)

閃き・・・・・・

 進めている仕事とは関係のないアイディアが突然閃く事がある。

それは永い時間同じ作業を続けている時よくある。

きっと頭や体が欲しての事。

閃いてしまうと始末が悪い。

興味がそちらへ向いてしまう。

そんな時は自分の気持ちに逆らわない。

海で拾い集めた素材で海のシーンを創る・・・・・・・。

そんな閃き。

昨年観た、野間口さんの作品も刺激になっていたのかも知れない。

捲る資料の断片が定着していたのかも知れない。

そんなもろもろが形になりかけていた。

閃きが逃げないようにと、進めていた仕事を中断して机に向かう。

簡単なスケッチを描いてみる。

閃きを定着させる。

動きは想像出来たが少しの不安を残す。

試作してみる事にした。

有り合せの材料を加工する。

何度か修正を繰り返す。

試しに簡単な作品を作ってみる事にした。

それでも材料は二つと無い素材。

100%再生には少し無理があるので、そこは柔軟に。

流木や廃材は背景に。

モチーフは狂いも考慮して市販の材料を使う。

ハーフ・アンド・ハーフと言った感じ。

自然に作られた景色や雰囲気と、作った造形の対比が狙い。

流木や廃材の加工は慎重をきした。

シャフトの墨出しが難しい。

Photo

Photo_5


意図としたところへ着地したが、動きは何度か作り直す。

頭で想像してイメージと違った。

試作はその隙間を埋めてくれる。

手と頭はフル回転。

自然発生的に次の閃き。

永い寄り道になりそうな気配。

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2009年3月 5日 (木)

始祖鳥記・・・・・・・

 「久しぶりに一気に読めた本でした!」と岡山を知るT氏から紹介された。

飯嶋和一の「始祖鳥記」。

2000年2月に発行。

「飛ぶことを夢見た実在した男の話」

「ライト兄弟に大きな影響を与えたオットー・リリエンタールがハング・グライダーで飛行実験した1896年から遡る事110年も前の話」

「リアルな飛行具の製作プロセス」・・・・・・興味を惹かれるフレーズが並ぶ。

勿論、始祖鳥にも惹かれた。

Photo

備前の国・・・・・児島郡八浜。

岡山藩の良港の一つで、回船問屋や船待ちの商人などが泊まる宿屋が建ち並んでいた。

「桜屋」は「岡山に寄るなら桜屋へ」と船頭たちの間でも有名な上宿だった。

主人公の「幸吉」は桜屋の次男として宝暦7年(1757)に産まれた。

7歳の時に父親の突然の死により「桜屋」は急速に衰退する。

幸吉は親戚の傘屋に奉公に出される。

手先の器用な幸吉は傘貼りの仕事もみるみるうちに上達する。

気晴らしに時々出かけた両児山から空を飛ぶ鳥を眺めていた。


年号が変わって、物語は天明のころから始まる。

「天明の飢饉」・・・・・子供や年寄り、弱いものがつぎつぎと命を落としていた。

疫病のせいとされているが、「政(まつりごと)の仕組みのせいではないか?」と・・・・・。

貧しい人たちは政への不満を募らせていた。

そんな時、岡山城下に藩の矢政をあざ笑いながら夜な夜な不思議な鳥、鵺(ぬえ)が飛ぶという噂が流れる。

町の人たちは、この噂を不満のはけ口として騒ぎたてた。

噂の鵺は実在した。

腕の良い表具師が自ら製作した大凧に乗って飛んでいたのだ。

幸吉29歳の時。

幸吉は大空への憧れを形にする事にとり付かれていた。

ただただ空を飛びたいと言う夢を追い続けていた。

「そんな人が居るのなら」と困難な夢を実現していく者、そんな生き様を応援する者・・・・。

幸吉のした事は人々に希望を与え、様々な物語を生んでいく。

3部構成になっているこの物語に悪い人は出てこない・・・・気骨のある男たちが痛快なまでに物語をすすめていく。

不況、難病、腐敗した政治・・・・物語の背景が「今」と妙に符号しているのも何か考えさせられるものがあった。

読後感は爽快、優しさに満たされた。

Photo_2

Photo_3

「鳥のように空を飛ぶ」・・・・幸吉同様に飛ぶ道具に興味を持って製作した作品。

鳥を模すところからはじまった・・・・・・・。

タイトルはそのまま「バードマン」・・・・鳥人間。

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