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2009年5月

2009年5月23日 (土)

洗濯バサミ・・・・・・

 材料があると安心する。

その気になると先も考えずに数仕入れたりする。

模型の田宮の本社に掛け合ってパーツを仕入れた事もある。

結構逆上せるタイプ。

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この木製の洗濯バサミもそれ。

針金と洗濯バサミを組み合わせた作品を考えてワークショップで試した。

結構消費したつもりだったが、半端に残っていた。

このバネの機構を持った洗濯バサミを使って簡単なオートマタが出来ないか考えた。

開け閉めすると上下する機構はクランクの仕組みと変わらない。

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いろいろとデザインは考えられたが、過去に製作した鳥をモチーフにした作品を試してみる。

この程度の着想はもう誰かが試している事は容易に想像出来た。

が、試さずにはいられない。

量か質か・・・後発の責任はとるつもり。

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簡単なデザインスケッチを描いて大きさやバランスを検討。

直接厚紙にパーツのデザインを描き込み原寸の型紙を作る。

2枚貼り合わせたアガチス材と桐材に型紙を使ってパーツを写し取る。

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糸鋸でパーツを切り抜く。

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パーツを貼りあわせる。

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手製の紙ヤスリを使って整形する。

手を動かしながら動きの仕組みを考える。

手を動かしていると頭が活性化されている感じがする。

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パーツの出来たところで仮組してみる。

動きは確認出来た。

軽いクチバシにはオモリを付ける。

開け閉めしるだけの簡単な機素だが、なるべく動きに変化を持たせたかった。

予想通りの動き。

機素部分(洗濯バサミ)は生地のまま。

鳥には色を入れてみた。

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開けたり閉めたり・・・・・・。

動きは手加減次第。

早くも遅くもその時の気分。

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昔観た飴細工師を真似て作品を動かしながら部屋を周ってみた。

一人だから出来る事。

ドラゴン、カエル、骸骨、ノミ・・・・・・・いろいろとモチーフが湧いてくる。

何か面白い可能性を感じた試作。

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2009年5月19日 (火)

蜥蜴・・・・・・

 陽を受けて、積まれた石垣の石が温まるとその隙間から顔を覗かせていた。

艶の無い褐色の鱗を持ったカナヘビや玉虫色に光るトカゲ。

遊んだのは少年時代の思い出。

怖がるような事は無かった。

掌に乗せ,その細部を観察した。

子供の悪意の無い無邪気な好奇心だった。

強い生命力を持った原始の姿は、何か惹かれるものがあった。

そんな事もあってか、創作をはじめた頃にトカゲをモチーフにした作品をよく作った。

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真鍮のワイヤーで作った一輪挿しがはじめだった。

石をベースに試験管を水入れに使った。

着色したフォトフレームには真鍮の板を加工した。

和紙の照明スタンドには同じ和紙を切り抜いてシルエットに・・・・・・。

いろいろとアレンジした。

世紀末のデザインを感じていた。

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左のトカゲの絵は1992年に開催した個展に使ったDMの原稿。

針金と真鍮板を素材にしたトカゲの作品を個展のイメージ・キャラクターとした。

イラストレーターの土器氏からプレゼントされた贅沢な案内を会場の表に設置した。(写真右)

壁面に並べた一輪挿しにはバラの花を生けた。

一輪挿しは追加のオーダーを受けるほどだった。

意外な反応に驚いた。

この個展をはじめに、その後もいろいろと手を加え個展の度に発表した。

風軒さん(U工房にて-Ⅱ)に影響された鍛造風のような仕様の作品も試した。

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糸鋸で加工した素材を火であぶる。

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金属は柔らかくなる。

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金床に乗せて専用の金槌で加工。

鎚目のついた金属は緩やかな膨らみを持ちながら硬度を増す。

再びバーナーで焼きなます。

金床に乗せて叩く。

繰り返す。

気持ちは鍛冶屋・・・・・・・。

Photo

鉄を素材にしたモノはそのリアリティに年配の方は眉を顰めた。

真鍮を素材にしたモノはアクセサリーのような感覚で女性にも受け入れられた。

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家を守るヤモリと重ね合わせ、壁に飾る方も多かった。

カフェの壁にトカゲだけを飾りたいと、変わったオーダーも受けた。

仕様を変えて製作した。

壁の高い場所、目線を外した位置に取り付け、発見した人だけが味わえる驚きを意図としていた。

その洒落っ気が嬉しかった。

仕事場には程よい風合いに仕上がった試作品を残すだけだが、初心を思い出させてくれる作品である。

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2009年5月15日 (金)

現場・・・・・・

 「仕込みが8で現場が2」・・・・・先輩の口癖だった。

仕込みの8は十二分。

仕事の仕上がりもさる事ながら現場での作業もスムーズにしたい。

現場の2の部分を円滑にする為に準備をする。

準備が万全ならば、落ち着いて作業に取り組める。

落ち着いて作業が出来れば仕上がりも期待出来る。

現場での仕事の順序を辿って、想定出来る事に対応出来るように準備をする。

先週、時間の限られた夜の現場。

照明を内臓したオブジェの取り付けと配線が主な内容。

平行ビニール線、閉端接続子、プラグなどの材料。

工具のニッパー、ワイヤーストリッパー、圧着工具、ドライバー、ETC・・・・・・。

配線だけでもいろいろと準備。

電動のドリルも含め様々な工具や補修用の塗料まで。

工具箱はそこそこの重さになる。

その重さが安心感にも繋がる。

準備は万全。

現場にはなにも不安は感じていなかった。

オブジェの設置場所は水をはる事の出来る特別なステージ。

中央に排水用の栓。

栓はパイプ、ゴムホースに繋がれている。

露出する配線をシンプルにと、この排水用のパイプとホースを通して結線。

パイプとホースの径は3cm近くある。

大きさは確認済み。

1.5mほどの長さのホースの中をビニールコードを通す。

この楽勝と思っていたホースの中にコードを通す作業が上手くいかない。

このゴムホースが曲者だった。

緩やかに曲がった部分のゴムの抵抗にあってコードが進まない。

オブジェの本体は1cmにも満たないパイプの中に同じコードを通している。

ホースはその3倍近い径を持っている。

針金をリードに使って試すがうまくいかない。

予想しなかったつまずき。

万全との思いが強かった分、気持ちが焦る。

作業ははじまったばかり。

準備した針金では硬度が無いと、急遽、太めの針金を手配。

ゴムホースの抵抗は思いのほか手強い。

手配した太めの針金もホースのその抵抗にあって前に進まない。

配線が出来なければオブジェに灯りが入らない。

想像はしたくなかった・・・・・・・。

ホースはグリーン色だが中が見える。

針金の先は残すところ50cmほどのところまで何とか辿りついた。

「排水に支障は無いので、そこでホースを切ってもかまわないヨ」・・・担当の方の言葉に救われる。

不覚だが随分と困った顔をしていたんだと思う。

針金の見えるところでホースを切る。

針金が通ってしまえば、後は簡単。

針金にコードを繋いで引く。

コードはいとも簡単にホースの中を通る。

する事に同じ事は無い。

万全とは言え、多少の問題が起こる事はいつも覚悟している。

が、今回の思いもよらぬつまずきに、久しぶりに慌てた私。

Photo_2

仕事は予想の仕上がり。

経験の無い静かな空間に作品が浮かぶ。

見慣れたはずの作品だが新鮮。

仕事の苦労は話さない。

「大変だったネ!」などと言われるとがっかりする。

どんなに苦労しても何もなかった様に涼しい顔をしていたい。

「上手の手から水が漏れる」・・・・・過信や思い込みはいけない。

今回は戒めも含めての報告。

P・S

Photo_3

店頭の演出。

この配線も一苦労。

が、苦労の介はあった。

 

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2009年5月 6日 (水)

U工芸にて― Ⅱ・・・・・・・

Photo_5

 U工芸のさんはA工芸社に勤めていた当時、時間を見つけて会社から少し離れた鍛造の工房にも通っていた。

鍛造の技術を勉強していた。

何百本ものパイプを曲げた後でも、時間があれば出かけていた。

さんの紹介で我々も什器の製作依頼で何度か訪れた。

この知られた工房の主人も型にはまっていなかった。

黒の作務衣に黒の手甲。

長く伸ばした髪・・・「只者ではない」そんな雰囲気を漂わしていた。

 

真っ赤に焚かれたコークス。

その中に鉄のムク棒を入れる。

タイミングは鉄の焼けた色で分かると言う。

天井の高いその工房には鉄を打つ機械が備えられていた。

少し意外な気がしたが、高齢な職人には必要な機械だったのかもしれない。

ズン ズン ズン ズン・・・重くはあるが軽快なリズムを刻む。

加減は足元のコントローラーで。

巧みに鉄の塊を動かして行く。

鎚目がついた鉄は再度コークスの中に。

鉄は熱によってその硬度を落とす。

ここからは機械に頼らない。

絶妙なタイミングで取り出された鉄は、金鎚やヤットコ、治具を巧みに使って唐草やたまねぎと呼ばれる鍛造ならではの造形に仕上げれていく。

角のムク鉄にネジリを入れていく。

まるで飴細工の様。

昆虫やカタツムリなどの造形も鉄の塊からいとも簡単に作り上げていた。

金属は叩くと硬くなり熱くなる。

小さな金属魂をヤットコで挟み金槌で角を叩く。

金属はたちまち熱くなる。

客人がタバコをくわえる。

タバコに熱くなった鉄を近づける。

煙が立ち上る。

正しく叩かれなければこうはならない。

熟練の証。

有名なY電気のオリジナルの装飾照明も手がけていた。

仕事中は人を寄せ付けない気を発しているが、仕事が済むと別人。

黒の巾着袋を持って我々を寿司屋に誘う。

巾着袋の中には100円玉がぎっしり。

寿司屋の勘定を100円玉で払う。

主人の「洒落」なのである。

人を驚かせたり、楽しませたりするのが好きだっのかも知れない。

仕事の確かな主人は悪戯が好きな職人でもあった。

主人の名は風軒。

フウケンさん、フウケンさんと呼ばれていた。


Photo_3

ムクの鉄棒を曲げて叩く・・・・装飾的なスタンドの足に。

角鉄を叩いて矢じりの飾り。

バラや竹の装飾も得意。

さんの仕事に鍛造の匂いがあるのはそんな経緯から。

時代の要求とは違うかもしれないが、「わが道を行く」。

私はそんな職人さんに敬意をはらっている。

P・S

この頃出会った木工所「M製作所」。

この主人はゼロ戦の木部構造を製作していた。

我々が頼んだモノ。

厚さ9mmの木を素材にした30cm四方シンプルなサイコロ。

6面ではなく、中抜きの4面。

面には荷がかかる。

補強の金具や釘を一切使わずに製作。

勿論、鋸とノミ一つで。

蟻組継ぎ。

今では機械で容易に加工が出来るのであろうが・・・・。

その精密な仕上がりに驚いた。

A工芸社の社長もフウケンさんもM製作所の主人も随分昔に鬼門に入ってしまったが、出会った記憶は新しい。

その技術にはとおく及ばないが質の目標としている。

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2009年5月 3日 (日)

U工芸にて・・・・・・

 久しぶりに仲畑にある知人の鉄工所U工芸に。

作品のパーツの製作。

仕事は任せたいのだが許して貰えない。

私が参加する事を当たり前としている。

勿論、その事に問題は無い。

今回も原寸図、パーツの加工を担当。

Photo

鉄工所独特の鉄やオイルの匂い、溶接の火花、ガスの炎・・・・そこに居るだけ良い。

工房の雰囲気を楽しみながらU工芸の主人さんと出会った昔の事を思い出していた。

さんとは40年らいの付き合い。

はじめての出会いは東京。

さんは什器や装飾金物を製作する亀戸に在ったA工芸社の職人として働いていた。

ここの社長の話。

A工芸社には什器の製作依頼で何度となく訪れていた。

工場の上にある事務所は畳敷き。

大きなガラスケースが目を引く。

はじめて訪れた時は驚いたが、ケースの中にはワニが棲んでいた。

社長の趣味。

社長はスポーツ新聞と赤鉛筆を片手にラジオに繋がれたイヤホーンを耳にしている。

何時もの事。

我々が来たのを知ると、体は私達の方に向けてくれるが神経は中継されているレースに集中。

社長の顔が変わり、イヤホーンが外されたところで打ち合わせがはじまる。

見逃さない、聞き逃さない・・・・社長は集中する。

レースと同じ。

質問を重ね、我々の意図するところを理解する。

助言や提案・・・・積み重ねられた経験でベストを探していく。

力強いパートナーであった。

この工場で作られる什器や装飾金物の数は並の数では無かった。

一つのデザインが万単位で作られていた。

唐草模様を曲げる為のベンダーも自ら開発した。

その頃、その界隈にはそんな型破りな経営者や職人さんが多くいた。

私はこのA工芸社でリアルな金物のイロハを習う。

「この径のパイプはこの曲げが限度。」

「綺麗に曲げるにはパイプの中に砂を入れて曲げる。」

「この鉄板の厚さでは熱を当てた時に歪むヨ!」

「ここは印籠継ぎで・・・・」

「メッキが綺麗に上がる様にここに穴を・・・・・」

いまでは当たり前のような事を稚拙な図面を前に教えてくれた。

型破りな職人さんたちは優しくもあった。

40年近く前の話。

年中無休で工房に通うさん。

仕事が好きなのか?工房が好きなのか?・・・聞いた事はない。

朝も早い。

5時には家を出て工房に向かう。

子供のように笑う。

「-を+に」

「常に考える」

「間を取る」

「挑戦 実行」

「実行」

工場の壁には忘れまいと、教訓の言葉が並ぶ。

心優しいアナログな職人はポジティブな精神の持ち主でもある。

A工芸社に居た頃と変わらない。

そんなさんに助けられて、予定の製作を無事終了。

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2009年5月 1日 (金)

想像しながら・・・・・・

 週末の現場は問題も無く、予定通りに終了。

今回は高い場所での作業。

とび職に外注したいほどの作業だったが、手馴れたOさんがテキパキと進めてくれた。

いろいろな人に支えられている事を感じながらの現場。

翌日から次の現場の仕込み。

オリジナル作品を改造。

手染めの和紙と針金の造形は2000年に開催した個展で発表。

反響もあり、展示した作品の9割は収め先が決まった。

和紙と針金・・・・容易にイメージ出来る造形がある。

長崎のランタン、青森のねぶたなどが重なる。

そのイメージを心地よく裏切りたかった。

2000年での個展では「水」をテーマにそこに居る生物をモチーフにした。

深海に棲むアンコウ。

イカや鯛。

イカはインパクトがあった。

オーム貝も照明に仕上げた。

海から川、池へ。

鯉、金魚とその環境を辿ってモチーフを決めた。

そのほとんどに照明を仕込み、オリジナルな手染めのパターンや色、形を楽しんでもらった。

その後、この針金と手染めの和紙を素材にした造形は動きのギミックも加え、ウインドウやイベントの演出に使われた。

Photo_2

金魚や鯉の模様はフレームに貼る前に染める。

手漉きの和紙を水に浸け、適当に水を含んだところで絞る。

卵ほどの大きさに絞った和紙を丁寧に広げる。

適当な水分が必要。

あまり含み過ぎるとぼかしの部分がだらしなくなる。

その加減は経験。

貼られた状態をイメージしながら広げられた和紙に色を落としていく。

ある時は高い位置から。

ある時は筆の先が紙に触れるほどの低い位置から。

描かない。

色を落としていくだけ。

後は偶然を期待する。

Photo_3

準備している夏のディスプレイはこんな工程で染められたオリジナルの金魚をアレンジして使う予定。

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