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2009年5月 6日 (水)

U工芸にて― Ⅱ・・・・・・・

Photo_5

 U工芸のさんはA工芸社に勤めていた当時、時間を見つけて会社から少し離れた鍛造の工房にも通っていた。

鍛造の技術を勉強していた。

何百本ものパイプを曲げた後でも、時間があれば出かけていた。

さんの紹介で我々も什器の製作依頼で何度か訪れた。

この知られた工房の主人も型にはまっていなかった。

黒の作務衣に黒の手甲。

長く伸ばした髪・・・「只者ではない」そんな雰囲気を漂わしていた。

 

真っ赤に焚かれたコークス。

その中に鉄のムク棒を入れる。

タイミングは鉄の焼けた色で分かると言う。

天井の高いその工房には鉄を打つ機械が備えられていた。

少し意外な気がしたが、高齢な職人には必要な機械だったのかもしれない。

ズン ズン ズン ズン・・・重くはあるが軽快なリズムを刻む。

加減は足元のコントローラーで。

巧みに鉄の塊を動かして行く。

鎚目がついた鉄は再度コークスの中に。

鉄は熱によってその硬度を落とす。

ここからは機械に頼らない。

絶妙なタイミングで取り出された鉄は、金鎚やヤットコ、治具を巧みに使って唐草やたまねぎと呼ばれる鍛造ならではの造形に仕上げれていく。

角のムク鉄にネジリを入れていく。

まるで飴細工の様。

昆虫やカタツムリなどの造形も鉄の塊からいとも簡単に作り上げていた。

金属は叩くと硬くなり熱くなる。

小さな金属魂をヤットコで挟み金槌で角を叩く。

金属はたちまち熱くなる。

客人がタバコをくわえる。

タバコに熱くなった鉄を近づける。

煙が立ち上る。

正しく叩かれなければこうはならない。

熟練の証。

有名なY電気のオリジナルの装飾照明も手がけていた。

仕事中は人を寄せ付けない気を発しているが、仕事が済むと別人。

黒の巾着袋を持って我々を寿司屋に誘う。

巾着袋の中には100円玉がぎっしり。

寿司屋の勘定を100円玉で払う。

主人の「洒落」なのである。

人を驚かせたり、楽しませたりするのが好きだっのかも知れない。

仕事の確かな主人は悪戯が好きな職人でもあった。

主人の名は風軒。

フウケンさん、フウケンさんと呼ばれていた。


Photo_3

ムクの鉄棒を曲げて叩く・・・・装飾的なスタンドの足に。

角鉄を叩いて矢じりの飾り。

バラや竹の装飾も得意。

さんの仕事に鍛造の匂いがあるのはそんな経緯から。

時代の要求とは違うかもしれないが、「わが道を行く」。

私はそんな職人さんに敬意をはらっている。

P・S

この頃出会った木工所「M製作所」。

この主人はゼロ戦の木部構造を製作していた。

我々が頼んだモノ。

厚さ9mmの木を素材にした30cm四方シンプルなサイコロ。

6面ではなく、中抜きの4面。

面には荷がかかる。

補強の金具や釘を一切使わずに製作。

勿論、鋸とノミ一つで。

蟻組継ぎ。

今では機械で容易に加工が出来るのであろうが・・・・。

その精密な仕上がりに驚いた。

A工芸社の社長もフウケンさんもM製作所の主人も随分昔に鬼門に入ってしまったが、出会った記憶は新しい。

その技術にはとおく及ばないが質の目標としている。

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コメント

お待ちしてました、U工芸パートⅡ!
Iさんの師匠のフウケンさん?(人間関係
まちがってたら、すみません)
ムク鉄筋の加工、あのY照明に納めているとは
すごい!インテリアは勿論、エクステリアで
建物の手摺に・・・巨匠アントニオ・ガウディー
のバトリョー邸のバルコニーの手摺やグエル公園入口
の門扉が思いだされます(しばらく見惚れクギズケになりました、ガウディーにもフウケンさんの様な名工が付いていたんでしょうね)。
鋸とノミで・・・
船大工は有りだけど、航空大工?
戦時中ですものね
木造住宅も時代の進歩から、木材加工(柱、梁)が
機械化され「プレカット」と言う機械作業が導入さてましたが
アメリカから入ってきた物ですから当初、日本の仕口に対応できず、大工さんの技とのコラボレーションが
続いていた様です(最近は情報が止まってますので
どう進歩したかは?)
鉄工屋さんも木工屋さんもマイノリティの為
ある意味では生きる道は確立出来ているのでは?
ガンバっていただきたいですねヽ(´▽`)/
            ヒデ爺でした。

投稿: ヒデ爺 | 2009年5月 6日 (水) 20時44分

ヒデ爺さんへ

間違いありません。
フウケンさんはIさんの師匠です。
ガウディー・・・・私も好きです。
あの頃は溶接の技術がなかったから、かしめで止めていましたよネ。
それがちゃんとデザインされている。
アルチザンが居たんですネ。
頼まれた以上のもを提供する。
それが当たり前だった時代。
今は時間との勝負・・・・そんな感じがします。
悪い事ではありませんが・・・・・・・。

P・S
情報ありがとうございました。
3人で盛り上がりました。

投稿: 羽川再生堂 | 2009年5月 6日 (水) 21時53分

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