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2009年10月

2009年10月10日 (土)

デザインの検証・・・・・・・

 作品の創作も依頼されたデザインの仕事もそれなりのハードルをクリアして形になる。

特に依頼されたデザインの仕事はハードルの数も多く高さもある。

テーマ、効果、調和、予算、納期などなど・・・・・・・・・。

そんなハードルを越えるために、いくつかのデザインを提案し、検討してもらう事になる。

形になるのは検討され、磨かれた1案だけである。

当然その過程で整理されるデザインがある。

3案提案した場合は必然的に2案は整理される。

「良いとこ取り」という場合もあるが・・・・・・・・。

で、整理されたデザインは悪いデザインか?

たまたまその時の条件を満たさなかっただけの事。

情報の違いで理解されなかったデザイン・・・・・・そんな事もある。

予算のハードルを越えられなかったデザインもある。

整理されたデザインは潔く「ゴミ箱」に投げ込まれる事もあるが、大概は引き出しの中に整理され次の機会を待つ事になる。

40年も仕事をしていると、引き出しの中には相当のデザインがストックされている。

時々引き出しを開けては、風に当てて虫干しの必要もあるのだが、この引き出し老化が進んで少し開け難くなっている。

引き出しの中で熟成し、タイミングで形になるものもあるが、引き出しに仕舞われた理由も分からないまま忘れさられているデザインも沢山ある。

中には熟成を越して腐敗しているものもある。

今秋のプランでも形にならなかったデザインがいくつかある。

「ふくろう」をモチーフにした造形もその一つである。

紙には描かれたが、形としては何処にも存在しない。

頭の中に存在しているだけ。

良いも悪いも分からない。

勿論、デザインをした段階では「いける」と確信して提案している。

だが、その確証は何処にもない。

自分だけでもそのデザインの形を見たくなった。

その検証で得るものも沢山あると考えた。

そんな思いで作品として製作してみる事にした。

以下はその創作の過程。

Photo

作品としてのボリュームや詳細を検討する。

気になるディテールは実寸で型紙をおこしたりもするがあくまでも目安程度。

図面と呼ばれるようなものは無い。

あるところまできたら後は素材を直接加工して求めているものを探す。


Photo_2

素材を前に思考錯誤の結果。

素材は2.5mmと1.5mm径の真鍮のワイヤー。

強度の必要な部分はロウ付け、他はハンダ付け。

機能と効率を考えての事。

選ぶ形や線に理由は無い。

ただこれだと思う直感的な選択。

Photo_3

スケルトンなフレームに和紙を貼る。

その存在に変化が・・・・・・・・・。

和紙は下から、そして後から貼っていく・・・・・・正面から見た時の和紙の重なり具合を考えての事。

細かく分割された和紙は1.5mmのワイヤーの上で貼り合わされる。

張り方でも表情は変わる。

発見の楽しみはこちらの特権。

Photo_5

Photo_6

お気に入りは後姿。

フレームの段階でそれなりに想像出来るが、心地よい裏切りもある。

Photo_7

Photo_8

フレームの段階でここを想像する。

照明を入れて完成なのだが、途中出会った造形も作品として成立しなくもない。

結果、作品としては「これもあり」だが、今回のデザインとしては、製作にかかった時間を考えるとコスト面に大きな課題があったと納得する。

過程で得た収穫は多い。

 

 

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2009年10月 1日 (木)

トラデスカンティア・シラモンターナ・・・・・・

 連れ合いの実家の庭先には様々な植物が植えられている。

季節ごとに花を咲かせ楽しませてくれる。

その中の何種類かを、昨年のゴールデン・ウィークに持ち帰りベランダの鉢に植えた。

その中でも一際目をひいた植物があった。

肉厚の葉を持った存在感のある植物。

聞けば、自信はないが「むらさきつゆくさ」だと言う。

手持ちの図鑑やネットで調べたが、その植物の正式な名前は分からなかった。

その特徴的な肉厚の葉と太目の茎は白毛に覆われている。

葉の裏と茎はむらさき色。

持ち帰ったその年は葉だけを楽しんだ。

それは最小限の姿を残して冬を越した。

今年は春先から葉を茂らせ、6月には鉢から溢れんばかりに育った。

相互に葉をつけ、7月には45~50cmほどの高さになった。

茎も25本ほど。

中の一本が花をつけた。

はじめて観る花だった。

その時の写真は以前にも紹介した。

そのもったぶった咲き方が面白く、観察は毎朝の楽しみになった。

茎の一番上にある重なった葉の隙間から、その全体からみると頼りない大きさの可憐な花を一輪だけ咲かせる。

ピンクの花弁が3枚。

毎朝、同じ場所で開花、夜にはその花を閉じる。

3日後、違う茎にも花をつけた。

前に咲いた花を観察すると、その花弁の一枚にに隠れるように萎れた小さな花の痕を見つけた。

前の日に咲いた花の残りだった。

毎日同じ花が開花していると思った。

毎朝違う花が同じような場所で咲いていたのだ。

5_2    

Photo_4

① 赤い小さな蕾のようなものは前日咲いた花痕 ② ①の花が閉じたところ

Photo_5

③ ①から2日後     ④ ③の翌日(前日の花とは違う花)

茎に一日一輪。

一度咲いた花は2度と咲く事はない。

花は一日限り。

不思議な咲き方を見つけて驚いた。

7月、夏の暑い日差しが気になって少し涼しい場所に移した。

毎朝2本ほどの茎に花をつけていたのが、次の日から開花がぴたりと止まった。

日当たりなど環境の違い?

移した事を少し悔やんだが、見守る事にした。

Photo_4

9月、2ヶ月ほどの沈黙を破って突然開花しはじめた。

朝の日差しの中に白毛を光らせて、いっきに5本ほどの茎に花をつけた。

何か嬉しくなって、正式な名前がどうしても知りたくなった。

名前を知らない事が心地よくない思いでひっかかってもいた。

週末に資料の多い総合図書館に行く。

「むらさきつゆくさ」は頭から離れていた。

「原色園芸植物図鑑」・・・・・・・リアルなイラストによる図鑑。

ページを捲るしかないと思った。

棚にあったⅠ~Ⅳまでの4冊をテーブルに持っていき、Ⅰから順にページを捲った。

Ⅰ~Ⅲにはその姿は見当たらなかった。

少し諦めかけてⅣを捲る。

400ほどあるページの半分ほど捲ったところにその植物はあった。

花の咲き方が違うが、この植物に間違いない?と思った。

Photo_3

トラデスカンティア・シラモンターナ(ムラサキツユクサ属)つゆくさ科とあった。

原産地は北東メキシコ。

以前にネットで「ムラサキツユクサ」と検索してみたが、ベランダにある植物の絵や写真は発見出来なかった。

が、聞いた「むらさきつゆくさ」は間違いではなかった。

正式な名前は分かったが、誰かにこの花の名前を聞かれたら間違いなく「むらさきつゆくさ」と答えるだろう。

少し自慢して、「むらさきつゆくさ属で北東メキシコ原産のトラデスなんちゃらかんちゃら・・・・・・」この程度が精一杯。

が、名前を知った事で少し胸をはってこの花を観賞出来ている。

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