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2010年3月 1日 (月)

鑿・・・・・・・

 少しだらしのない話だが、先日は自分の昔の作品に励まされてしまった。

思いもかけなかったモノから励まされたり、教えられる事もある。

随分前になるが近くに住むM氏から、「作品の材料になりませんか?」と工具の入った箱をもらった。

どんな経緯でM氏の手元に渡ったかは聞きそびれたが「ありがとう!」と礼を言って素直に貰った。

金槌、釘抜き、ドライバー、鑿(ノミ)・・・・・・・箱に入っていたのは大工が使ったと思われる道具類。

何時の頃、使い手の手を離れたのか?

かなりの時間を経た事はその工具の錆び具合で分かった。

錆びてはいるが、どれもが多くの仕事をこなしてきた痕跡を残している。

中でも目を惹いたのがノミ。

Photo

48mm(1寸6分)と21mm(7分)の穂幅を持った2本のノミ。

ノミは先に切刃を持った平たい「穂」と呼ばれる部分と、「首」と呼ばれる穂から繋がる絞り込まれた金物の部分と、硬い木を加工した「柄」と呼ばれる3つの部分からなっている。

この2本のノミが、多くの仕事をしてきた事は柄の割れを防ぐ桂がついた槌の当たる部分の様子や穂の減り具合を見れば一目瞭然である。

Photo_2

売られているノミの穂と呼ばれる部分の長さは穂幅で少し異なるが平均して60~70mmほどある。

2本のノミの穂は、48mmのノミは30mm、21mmのノミにいたっては10mmほどを残すだけになっている。

どれだけの仕事をすればこの状態になるのか?

Photo_3

手元にあるノミや彫刻刀を並べてみた。槌で叩いて使うモノや押してつかうモノ・・・・・一番使うのは熊本の工芸展で手に入れた右下にある切り出しナイフ

使う頻度は大工のそれとは比べものにならないが、私も何本かのノミや彫刻刀、切り出しを持っている。

いつでもベストの状態である様、研ぎの手入れは怠らない。

それでも、10数年使っても減りの程度は知れている。

勿論、大工の仕事と比べる事が出来ないのは百も承知だが、「研ぐこと」は多少理解は出来ると思っている。

昔は木造家屋の建築現場などで、ノミやカンナの刃を研いでいる大工さんをよく見かけた。

カンナかけ、、継ぎ手のホゾ加工、簡単な建具まで、昔は現場で加工されていた。

いまは建設の現場でノミやカンナを刃を研いでいる大工さんを見かける事は少ない。

いまはほとんどの材料が工場で機械を使って加工される。

私自身も電動の工具に大いに助けられている。

が、2本の錆びたノミを見ていると、

「便利になった分、内容や質は向上しているのか?」

そんな声が聞こえる。

答える言葉につまる。

この2本のノミの仕事に思いを馳せると、「まだまだ・・・・」と頭の下がる思い。

昔の錆びついた道具に励まされ、教えらている自分がいる。

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コメント

羽川さんへ

使い込まれたノミですね。
持ち主を想像したくなります。

短く刈り込まれた髪、がっしりした指、
シワも味のうちの日に焼けた顔、
言葉がすくない男。

職人の道具は魅力的ですね。
いろいろな物を作る人がいますが、
その人の作品と道具一式が紹介されていると、
見入ってしまいます。

脱線しますが、
文房具売り場をのぞくのも好きです。

見慣れない外国のエンピツを見ると、
「このエンピツはどんな描きごこちがするのだう?」と思わず買ってしまうことがあります。

「カタチから入る」という人がいますが、
私はその類ですね。


ブエノス小僧


投稿: ブエノス小僧 | 2010年3月 1日 (月) 22時16分

鑿・・・この字なんですね。
店主のブログが私の行動を
追っかけてきたような!(笑)
と言うのも、京都国立博物館にて
ハプスブルグ展が開催されており
28日にふらりと一人で出かけたんです
コメントは、その展ではなく
館の前に蓮華王院、通称、三十三間堂があり
私、十数年前、属する業界のニュース誌の表紙
に「木」をテーマにしたイラストをと言う募集
があり、実視のない三十三間堂を写真を観て
あたかも、スケッチしたかの様に提出したところ
これが、取り上げられ、その誌の十二月号の表紙
に載ってしまった、そうです、しまったのです
式にも呼ばれ(うん万円の賞金も)、コメントを
問われ、引っ込みがつかなかった思い出が・・・
一度、観ておかなければの想いで、中身の国宝仏像
をさしおいて器(本堂)の外観をじっくり・・・
全長120m、桁側33本柱、と言う事は割る事の
通語で桁行き二間とばしの壮大な器で・・・
この建設に従事した大工さんどれほど鑿を研いだ
ことやら・・・(長いひっぱりで(≧m≦))
写真をスケッチしていた時の想いが一緒だった事と
今、観たの、せめての罪ほろぼしが出来たような(笑)・・・で
ハプスブルグはどこへ?・・・
                 ヒデ爺

投稿: ヒデ爺 | 2010年3月 1日 (月) 23時36分

ブエノス小僧さんへ

確かに一つの道具から様々な事を想像してしまいますネ。

白髪混じりの短い髪に手ぬぐいの鉢巻、足元は地下足袋・・・・・

刃の研ぎ具合を指先で確かめて、ゲンノウを使って刃をカンナに収める。

片目で刃の出具合を確かめる・・・・その真剣な眼差しは職人のそれ。

その姿を想像すると「うっとり」してしまいます。

ブエノス小僧さんのイラストに出て来そうです。


私も文具、雑貨の類、大好き人間です。

海外の旅行に行っても文具屋があると覗いてしまいます。

機会があったら戦利品紹介したいと思います。

投稿: 羽川再生堂 | 2010年3月 2日 (火) 06時49分

ヒデ爺さんへ

鑿・・・・勿論書けません。
随分前になりますが、我が家の店長と京都に行った時に三十三間堂に行きました。
ヒデ爺さんの三十三間堂の絵・・・・観たかったです。
昔の建築物も凄いですよネ。
考えると情報で一杯です。
前に「壊れても仏像」の話を書きました。
仏像は「タイムカプセル」だと・・・・・
昔の建築物を解体すると、梁の上や屋根裏から大工の工具などが発見されたりします。
忘れ物?・・・・・いやいや、私は意図を持ってそこに置いたんだと思ってます。
未来に何かを伝える為に・・・・・・・。
そう言った意味では建築物も取り上げたノミも「タイムカプセル」のような気がします。
昔の情報を今に届けてくれている様な気がします。
私たちはどんな情報を届けられるのか?
考えてしまいます。

投稿: 羽川再生堂 | 2010年3月 2日 (火) 07時00分

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