製作中・・・・・・
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■ ノープランだったこの連休。
結局は仕事場に通う。
人が休みの時に仕事をする。
余計な邪魔が入らない。
なかなか気持ちが良いものである。
決して負け惜しみなどではない。
決して・・・・・・・・。
今回の秋の演出の仕事では商品の提案もさせて頂いた。
仕入れだけでは他店と同じようなモノが並んでしまう。
プラーベート・ブランドが開発出来れば理想だが、そこはまだハードルが高すぎる。
出来る事・・・・・・・そんな事で私たちも秋のストーリーに沿って少しだが作品を製作。
演出のデザインでモチーフにした茸をスタンドに・・・・・・。
ストーリーを持つ事で見つけたモチーフ。
連れ合いも刺繍で参加。
「豊かな森」がストーリー。
栗、柿、紅葉・きのこ・・・・・・秋の森を彩るモチーフ。
栗をモチーフにした刺繍を施した巾着。
栗のリースは珍しい。
ストーリーがあってのデザイン。
裏地にもこだわっている。
栗と紅葉をモチーフにした刺繍の巾着2点。
紅葉の刺繍をポイントにした小物入れ。
萩となでしこの刺繍を施した巾着。
萩の刺繍をポイントにした小物入れ。
桔梗とおみなえしの刺繍を施した巾着。
こちらも試行錯誤。
新しい試みにブレーキをかけぬように可能性を模索中。
興味のある方は『お仏壇のはせがわ』川端店へ。
館内にはいたるところに著名な作家の作品が並び美術館のようでもあります。
4階にあるプラチナの茶室も必見。
実際に茶会を開いています。
東京銀座店には金の茶室があるとの事です。
11月23日よりに開かれる、美術運動体「九つの音色」による「祈りの継承展」も見ものです。
思うよりハードルは高くありません。
気楽に店内を散策してみて下さい。
歓迎してくれると思います。
機会がありましたら是非・・・・・・・。
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■ コンセプトワークからはじまった秋冬の演出計画。
先週末からの現場設営を終え、店内を豊かな秋の色に染めています。
設営のパートナーはS工房を主宰するOさん。
Oさんとの付き合いは20数年。
銀座資生堂の芸術的なウインドウ演出を施工していた事で知られているG工房。
G工房はクリエーターのハードルの高いオーダーを形にする事で評価されていた。
Oさんはその仕事を学びたいとG工芸に入社。
十二分な経験をつんで帰福。
その経験を生かし、自ら工房を開く。
G工房との関係もあって、あのルイ・ヴュトンのウインドウも手がけていた。
その質もさる事ながら、女性ならではの細かい配慮と気遣いが現場を円滑にする。
『Oさんでなければ』とデザイナーや施工業者のファンも多い。
信頼のおけるパートナーに支えられての仕事です。
光る樹は私が担当。
実りのアレンジはOさん。
色は効果的です。
夏の色から秋の色に・・・・・・・。
ちょとしたVPのシステムを導入しています。
他店でもこの色、この素材が効果的に使われています。
5メートル以上もあるタワー。
高い場所での作業も慣れたもの。
タペストリーの取り付けもOさん。
紹介した2店の内装デザインはスーパーポテトで杉本貴志氏と活躍していた高取邦和氏です。
厳しい視線を背中に感じての仕事でもあります。
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■ 吹き抜ける風が次の季節の訪れを感じさせる。
衣替えの時期。
店舗のディスプレイも夏から秋へ・・・・・・・。
仕事は重なる。
幾つかの現場が同時に進行。
考えていても前に進まない。
決まった仕事から片付けていく。
週明け、朝早くから知人Y氏の鉄工所。
オブジェのフレームを製作。
図面では描けないような感覚のデザイン。
現場のちょっと複雑な形状。
確認の図面や模型は造ってみたが、リアルな大きさで造ってみないと分からない。
何度か電話でのやりとりはしたが、模型や図面らしきものを前に説明を繰り返す。
デザインに関わる部分、曲げや切断などは私が担当。
Y氏は技術的な仕事を・・・・・・。
暗黙のうちに決められた分担。
4~6mm径の丸鋼が今回の素材。
ベースになる部分から加工。
石墨で原寸のデザイン。
素材を白墨のデザインに沿わせバーナーで熱しながら曲げていく。
治具を使って寸法の確認。
大事なところ。
Y氏の手を休めないように部材を加工していく。
汗が流れ落ちる。
水分を補給する。
嫌ではない。
こんな仕事の感覚が好きだ。
何かやってる感じがする。
狭い仕事場では味わえない、スピードとストローク。
午前中でベースになる形は出来上がる。
午後からはディテイールに取り掛かる。
ここからはフリースタイル。
横に置いてある模型は気休め。
その場のデザイン。
直感的に形を決めていく。
曲げた鉄の棒を意図した場所にセットするとY氏が手早く溶接。
繰り返す。
必要な会話だけで黙々と続ける。
溶接の箇所は250箇所以上。
時間を見ると5時を少し過ぎていた。
今日の予定はなんとか達成。
心地よい疲労感。
慣れたY氏は涼しい顔。
まだ仕事は始まったばかり。
月中の現場に向かって奮闘中・・・・・・・。
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■ 少し慌てていたのかも知れません。
小さな部材にドリルで穴を開ける為に目打ちで印を付けようとした時です。
2cm四方の小さな木のブロック。
バイスで押さえればよかったのかもしれません。
部材の中央に目打ちの尖った先端を当て、持った右手に力を入れた瞬間、部材が割れ、何故か部材を押さえていた左手の人差し指に目打ちの先端が直撃。
「やってしまった!」
ドリルの刃が木の目を嫌ってずれないように少しきつめに印を付けようと、目打ちを持った右手に遠慮はありません。
瞬間、痛みはありませんでした。
指先を見るとは小さな点が・・・・・・。
ほっと胸を撫で下ろした瞬間、その小さな点から血が滲み出て、それは指先を覆い、見る間に掌を染めました。
台所に走り、消毒、血をふき取って素早くバンドエイドで止血・・・・・・・。
言うほどに素早くはありませんでした。
右手だけでバンドエイドを箱から出し、紙を剥がして貼るのは容易ではありません。
もたもたしていると指は直ぐに血に染まります。
ポタポタと落ちてシンクに残った水を赤く染めます。
何か情けない感じになってます。
痛みが来たのはその頃からでした。
心臓の鼓動に合わせてズキン!ズキン!と・・・・。
しかけた作業を止め、夕刻までは資料の整理。
製作の時間が無くなると気持ちはあせる。
夜に襲った腕のだるい痛み。
愛読している夕刊の連載小説に錆びた釘を踏んで破傷風で死んだくだり・・・・・・。
気持ちはブルー。
さっさと寝る。
翌朝、バンドエイドを剥がしてみると、恥ずかしいほどに小さな傷。
目打ちの先が5mmほど突き刺さったよう。
昨日の血はどこから出たの?
傷口を押さえれば痛いが、昨日の痛みは治まっている。
仕事に支障は無さそうな気配。
集中力に欠けていたのだと反省。
「忙しい時こそ」・・・・・この先への警鐘だと受け止める。
包帯を巻いた痛々しいH氏の指を思い出した出来事でした。
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■ 休日返上で製作に励んでます。
今月末の展示会の作品です。
材料は能古の浜辺で拾い集めた流木や端材です。
2つと無い材料です。
出来るだけ無駄の無いように使います。
適当な流木を電動糸鋸でカットします。
不安定なので加工にはかなりの注意が必要です。
仕上がりのデザインを考えてカットします。
丸木船です。
ドリルで彫り加工をします。
ここではいろいろな道具を使います。
右から切り出しの小刀、ルーター(プロクソン)、電動彫刻刀(リョービ)、彫刻刀、etc・・・・
仕上げは紙ヤスリです。
形が特殊なのでそれ用の道具も工夫します。
結構手間のかかる事をしています。
材料は無駄の無いように使いきります。
船を操る人はカットした残りの材料を使って切り出します。
その材料で他のモチーフも加工します。
料理に似ています。
材料は使いきりたいと思っています。
その工夫が作品の味になったりします。
明日に向かって漕ぎ出す・・・・・そんなストリーの作品の出来上がりです。
後ろに見えるはずの能古の島、今日は霞んでいます。
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■ 陽を受けて、積まれた石垣の石が温まるとその隙間から顔を覗かせていた。
艶の無い褐色の鱗を持ったカナヘビや玉虫色に光るトカゲ。
遊んだのは少年時代の思い出。
怖がるような事は無かった。
掌に乗せ,その細部を観察した。
子供の悪意の無い無邪気な好奇心だった。
強い生命力を持った原始の姿は、何か惹かれるものがあった。
そんな事もあってか、創作をはじめた頃にトカゲをモチーフにした作品をよく作った。
真鍮のワイヤーで作った一輪挿しがはじめだった。
石をベースに試験管を水入れに使った。
着色したフォトフレームには真鍮の板を加工した。
和紙の照明スタンドには同じ和紙を切り抜いてシルエットに・・・・・・。
いろいろとアレンジした。
世紀末のデザインを感じていた。
左のトカゲの絵は1992年に開催した個展に使ったDMの原稿。
針金と真鍮板を素材にしたトカゲの作品を個展のイメージ・キャラクターとした。
イラストレーターの土器氏からプレゼントされた贅沢な案内を会場の表に設置した。(写真右)
壁面に並べた一輪挿しにはバラの花を生けた。
一輪挿しは追加のオーダーを受けるほどだった。
意外な反応に驚いた。
この個展をはじめに、その後もいろいろと手を加え個展の度に発表した。
風軒さん(U工房にて-Ⅱ)に影響された鍛造風のような仕様の作品も試した。
糸鋸で加工した素材を火であぶる。
金属は柔らかくなる。
金床に乗せて専用の金槌で加工。
鎚目のついた金属は緩やかな膨らみを持ちながら硬度を増す。
再びバーナーで焼きなます。
金床に乗せて叩く。
繰り返す。
気持ちは鍛冶屋・・・・・・・。
鉄を素材にしたモノはそのリアリティに年配の方は眉を顰めた。
真鍮を素材にしたモノはアクセサリーのような感覚で女性にも受け入れられた。
家を守るヤモリと重ね合わせ、壁に飾る方も多かった。
カフェの壁にトカゲだけを飾りたいと、変わったオーダーも受けた。
仕様を変えて製作した。
壁の高い場所、目線を外した位置に取り付け、発見した人だけが味わえる驚きを意図としていた。
その洒落っ気が嬉しかった。
仕事場には程よい風合いに仕上がった試作品を残すだけだが、初心を思い出させてくれる作品である。
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■ 「仕込みが8で現場が2」・・・・・先輩の口癖だった。
仕込みの8は十二分。
仕事の仕上がりもさる事ながら現場での作業もスムーズにしたい。
現場の2の部分を円滑にする為に準備をする。
準備が万全ならば、落ち着いて作業に取り組める。
落ち着いて作業が出来れば仕上がりも期待出来る。
現場での仕事の順序を辿って、想定出来る事に対応出来るように準備をする。
先週、時間の限られた夜の現場。
照明を内臓したオブジェの取り付けと配線が主な内容。
平行ビニール線、閉端接続子、プラグなどの材料。
工具のニッパー、ワイヤーストリッパー、圧着工具、ドライバー、ETC・・・・・・。
配線だけでもいろいろと準備。
電動のドリルも含め様々な工具や補修用の塗料まで。
工具箱はそこそこの重さになる。
その重さが安心感にも繋がる。
準備は万全。
現場にはなにも不安は感じていなかった。
オブジェの設置場所は水をはる事の出来る特別なステージ。
中央に排水用の栓。
栓はパイプ、ゴムホースに繋がれている。
露出する配線をシンプルにと、この排水用のパイプとホースを通して結線。
パイプとホースの径は3cm近くある。
大きさは確認済み。
1.5mほどの長さのホースの中をビニールコードを通す。
この楽勝と思っていたホースの中にコードを通す作業が上手くいかない。
このゴムホースが曲者だった。
緩やかに曲がった部分のゴムの抵抗にあってコードが進まない。
オブジェの本体は1cmにも満たないパイプの中に同じコードを通している。
ホースはその3倍近い径を持っている。
針金をリードに使って試すがうまくいかない。
予想しなかったつまずき。
万全との思いが強かった分、気持ちが焦る。
作業ははじまったばかり。
準備した針金では硬度が無いと、急遽、太めの針金を手配。
ゴムホースの抵抗は思いのほか手強い。
手配した太めの針金もホースのその抵抗にあって前に進まない。
配線が出来なければオブジェに灯りが入らない。
想像はしたくなかった・・・・・・・。
ホースはグリーン色だが中が見える。
針金の先は残すところ50cmほどのところまで何とか辿りついた。
「排水に支障は無いので、そこでホースを切ってもかまわないヨ」・・・担当の方の言葉に救われる。
不覚だが随分と困った顔をしていたんだと思う。
針金の見えるところでホースを切る。
針金が通ってしまえば、後は簡単。
針金にコードを繋いで引く。
コードはいとも簡単にホースの中を通る。
する事に同じ事は無い。
万全とは言え、多少の問題が起こる事はいつも覚悟している。
が、今回の思いもよらぬつまずきに、久しぶりに慌てた私。
仕事は予想の仕上がり。
経験の無い静かな空間に作品が浮かぶ。
見慣れたはずの作品だが新鮮。
仕事の苦労は話さない。
「大変だったネ!」などと言われるとがっかりする。
どんなに苦労しても何もなかった様に涼しい顔をしていたい。
「上手の手から水が漏れる」・・・・・過信や思い込みはいけない。
今回は戒めも含めての報告。
P・S
店頭の演出。
この配線も一苦労。
が、苦労の介はあった。
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■ U工芸のIさんはA工芸社に勤めていた当時、時間を見つけて会社から少し離れた鍛造の工房にも通っていた。
鍛造の技術を勉強していた。
何百本ものパイプを曲げた後でも、時間があれば出かけていた。
Iさんの紹介で我々も什器の製作依頼で何度か訪れた。
この知られた工房の主人も型にはまっていなかった。
黒の作務衣に黒の手甲。
長く伸ばした髪・・・「只者ではない」そんな雰囲気を漂わしていた。
真っ赤に焚かれたコークス。
その中に鉄のムク棒を入れる。
タイミングは鉄の焼けた色で分かると言う。
天井の高いその工房には鉄を打つ機械が備えられていた。
少し意外な気がしたが、高齢な職人には必要な機械だったのかもしれない。
ズン ズン ズン ズン・・・重くはあるが軽快なリズムを刻む。
加減は足元のコントローラーで。
巧みに鉄の塊を動かして行く。
鎚目がついた鉄は再度コークスの中に。
鉄は熱によってその硬度を落とす。
ここからは機械に頼らない。
絶妙なタイミングで取り出された鉄は、金鎚やヤットコ、治具を巧みに使って唐草やたまねぎと呼ばれる鍛造ならではの造形に仕上げれていく。
角のムク鉄にネジリを入れていく。
まるで飴細工の様。
昆虫やカタツムリなどの造形も鉄の塊からいとも簡単に作り上げていた。
金属は叩くと硬くなり熱くなる。
小さな金属魂をヤットコで挟み金槌で角を叩く。
金属はたちまち熱くなる。
客人がタバコをくわえる。
タバコに熱くなった鉄を近づける。
煙が立ち上る。
正しく叩かれなければこうはならない。
熟練の証。
有名なY電気のオリジナルの装飾照明も手がけていた。
仕事中は人を寄せ付けない気を発しているが、仕事が済むと別人。
黒の巾着袋を持って我々を寿司屋に誘う。
巾着袋の中には100円玉がぎっしり。
寿司屋の勘定を100円玉で払う。
主人の「洒落」なのである。
人を驚かせたり、楽しませたりするのが好きだっのかも知れない。
仕事の確かな主人は悪戯が好きな職人でもあった。
主人の名は風軒。
フウケンさん、フウケンさんと呼ばれていた。
ムクの鉄棒を曲げて叩く・・・・装飾的なスタンドの足に。
角鉄を叩いて矢じりの飾り。
バラや竹の装飾も得意。
Iさんの仕事に鍛造の匂いがあるのはそんな経緯から。
時代の要求とは違うかもしれないが、「わが道を行く」。
私はそんな職人さんに敬意をはらっている。
P・S
この頃出会った木工所「M製作所」。
この主人はゼロ戦の木部構造を製作していた。
我々が頼んだモノ。
厚さ9mmの木を素材にした30cm四方シンプルなサイコロ。
6面ではなく、中抜きの4面。
面には荷がかかる。
補強の金具や釘を一切使わずに製作。
勿論、鋸とノミ一つで。
蟻組継ぎ。
今では機械で容易に加工が出来るのであろうが・・・・。
その精密な仕上がりに驚いた。
A工芸社の社長もフウケンさんもM製作所の主人も随分昔に鬼門に入ってしまったが、出会った記憶は新しい。
その技術にはとおく及ばないが質の目標としている。
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■ 久しぶりに仲畑にある知人の鉄工所U工芸に。
作品のパーツの製作。
仕事は任せたいのだが許して貰えない。
私が参加する事を当たり前としている。
勿論、その事に問題は無い。
今回も原寸図、パーツの加工を担当。
鉄工所独特の鉄やオイルの匂い、溶接の火花、ガスの炎・・・・そこに居るだけ良い。
工房の雰囲気を楽しみながらU工芸の主人Iさんと出会った昔の事を思い出していた。
Iさんとは40年らいの付き合い。
はじめての出会いは東京。
Iさんは什器や装飾金物を製作する亀戸に在ったA工芸社の職人として働いていた。
ここの社長の話。
A工芸社には什器の製作依頼で何度となく訪れていた。
工場の上にある事務所は畳敷き。
大きなガラスケースが目を引く。
はじめて訪れた時は驚いたが、ケースの中にはワニが棲んでいた。
社長の趣味。
社長はスポーツ新聞と赤鉛筆を片手にラジオに繋がれたイヤホーンを耳にしている。
何時もの事。
我々が来たのを知ると、体は私達の方に向けてくれるが神経は中継されているレースに集中。
社長の顔が変わり、イヤホーンが外されたところで打ち合わせがはじまる。
見逃さない、聞き逃さない・・・・社長は集中する。
レースと同じ。
質問を重ね、我々の意図するところを理解する。
助言や提案・・・・積み重ねられた経験でベストを探していく。
力強いパートナーであった。
この工場で作られる什器や装飾金物の数は並の数では無かった。
一つのデザインが万単位で作られていた。
唐草模様を曲げる為のベンダーも自ら開発した。
その頃、その界隈にはそんな型破りな経営者や職人さんが多くいた。
私はこのA工芸社でリアルな金物のイロハを習う。
「この径のパイプはこの曲げが限度。」
「綺麗に曲げるにはパイプの中に砂を入れて曲げる。」
「この鉄板の厚さでは熱を当てた時に歪むヨ!」
「ここは印籠継ぎで・・・・」
「メッキが綺麗に上がる様にここに穴を・・・・・」
いまでは当たり前のような事を稚拙な図面を前に教えてくれた。
型破りな職人さんたちは優しくもあった。
40年近く前の話。
年中無休で工房に通うIさん。
仕事が好きなのか?工房が好きなのか?・・・聞いた事はない。
朝も早い。
5時には家を出て工房に向かう。
子供のように笑う。
「-を+に」
「常に考える」
「間を取る」
「挑戦 実行」
「実行」
工場の壁には忘れまいと、教訓の言葉が並ぶ。
心優しいアナログな職人はポジティブな精神の持ち主でもある。
A工芸社に居た頃と変わらない。
そんなIさんに助けられて、予定の製作を無事終了。
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■ オリジナルの創作も依頼されたデザインの仕事も完成までのプロセスは同じ。
40年もやっているディスプレイデザイン、同じ内容は一つも無い。
毎回はじめてなのだ。
提案が受け入れられれば、後は任せられる事が多い。
その分プレッシャーもかかるが、私には向いている。
図面は勿論の事、サンプル、模型などを作って検討を重ねる。
勿論、プロセスも楽しむ。
現物に近いモノを準備して現場でシュミレーションもする。
図面や模型では見えなかったモノも見えてくる。
リアルに確認出来る。
発見した良いものは取り入れる。
時間を掛けた内容でも調和や効果がなければ変更する。
ミリの単位でこだわる事もある。
施主に要望された訳ではない。
仕事の仕方なのだ。
まずは自分自身が納得出来るモノを・・・・・。
それを基としている。
納得しないモノを提供するわけにはいかない。
結果として、引渡しの時に喜んで頂ける仕事を心がけている。
喜んで受け入れて貰えれば、ランニングも期待出来る。
週末の現場。
知人の工房で最後の確認。
現場と同じ環境は造れないが、近い形で組み込んでみる。
仕込みは上々・・・・・・・・。
後は現場でベストを尽くすだけ。
そんな仕事の仕方。
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■ 「お客さんは10mmのドリルの刃ではなく、10mmの穴が欲しいのです!」
ホームセンターの社員教育に迎えた講師の弁。
分かったような、分からないような・・・・・。
私の作品は微妙な寸法の穴を必要とする。
ビットに表示された寸法よりほんの少し小さい穴、ほんの少し大きい穴・・・・・などなど。
コンマ以下の少し我侭な要求。
穴開け加工といっても、ドリルに装着されるモノでも多種多様。
木工用、鉄工用、アルミ、アクリル、コンクリート、陶器といった材料に対応するモノ。
大きい穴開け用のホルソーや自在錐など。
値段もいろいろだがここで安物は薦めない。
工具の性能は値段に比例する。
刃もメーカーや用途によって微妙に開けた穴の大きさが違う。
ドリル(ボール盤)側の正確さも影響する。
そんな工具や材料の癖を見抜いて必要な穴の加工を試みる?????
製作上、13mm径の穴を必要とした。
あまり使用しない径だった。
その径のビットを探し工具店で買い求めた。
加工は完璧だった。
穴ですから何もありません。
空間です。
欲しかったこの指先ほどの穴の値段は一箇所¥2,800-。
そんな贅沢な穴もある。
「13mmの穴、開けましょうか?」
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人形の顔に布を貼っていた。
頭のラインに沿って布を切り込んだ時だった。
「ポッキ!」乾いた音を発てて樹脂で出来たハサミの平柄の部分が折れた。
一番使い慣れたハサミ。
10年以上前に手に入れたモノ。
時間の経過による樹脂の劣化?
切刃は小さな山が連なる砥ぐ事の出来ないタイプ。
が、手入れをしてきたので切れ味は当初と変わらない。
私の乱暴な使用にもよく対応してくれた。
近くの手芸店に連絡を入れたが同じモノの在庫が無い。
仕事も終わっていない。
他のハサミが無いわけではないが、この仕事にはこのハサミが不可欠。
ダメージは決定的だったが、修理を試みる。
柄の大きさと力のかかり具合から単純な接着ではすぐに壊れるのは目に見えている。
骨接ぎのように針金を加工したもので折れた箇所を繋ぐ。
紐、針金、テープ・・・・・それらで固定する事も考えたが、樹脂を使ってみる事にした。
ギブスのように・・・・・・。
粘土で型を作って、繋いだ部分に樹脂が被さるようにした。
写真の白い部分が樹脂で折れた箇所。
仕上げはルーターを使って整形。
使ってみると、繋いだ部分もしっかりと固定され、安定した使い心地。
これでしばらくは使えそうな気配。
修理には2時間ほどかかったが、作品の製作とはまた違った充実感。
使い込んだ愛用のハサミたち。
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■ 前作を製作していた時の着想。
まだ星を頼りに船を操っていた頃の話。
まだ見ぬ異国の地に思いを馳せて帆をはる冒険者たち。
航海は生死をかけての試みだったに違いない。
「海底2万哩」、「白鯨」、「パーフェクト・ストーム」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」・・・・・・海を背景にした物語が頭を巡る。
「海と冒険」・・・・ありふれたキーワードかもしれないが、素直な気持ちでそのストーリーを取り込んでみる。
荒れ狂う海に木の葉の様に舞う船。
つぎつぎと試練が襲う。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」の大イカは印象的だった。
西洋ではイカや蛸は「悪魔の化身」として恐れられていたと聞く。
ここでは大蛸を試練の象徴として登場させる。
素材は前作で試した廃材を使用した背景と市販の材料で作りこんだモチーフの組み合わせ。
岩場と土台は少し幅のある廃材と流木を加工。
フラットな小口が求められるのでテーブル・ソウで慎重に加工。
仕上げは白の塗料で塗り上げた後、スポンジで拭き取る。
波はアガチスを加工。
群青、空、白の塗料を海綿で叩いてマチエールを創る。
船は自身の作品「マザークロック」で製作した木造船を参考にする。
甲板と船底を組み立ててから5mm幅の白木を熱湯で曲げながら加工。
仕上がった船は全長7cm・・・・ドールハウスを作る作家の気分。
揃った本体のパーツ。
蛸の加工。
波同様に加工がしやすいアガチスを素材に選ぶ。
吸盤は丸棒のサイズ違いを加工と思っていたがサイズに限界がある。
やはりここが一番の難所。
部屋の隅に置いた箱から木の枝がはみ出ていた。
先細になっているこの枝を加工したら?
治具と目の細かい鋸を使って慎重に加工。
乾燥具合や大きさによっては樹皮が剥がれたりと多少の問題はあったが大方イメージのモノが出来上がった。
アガチスを貼り合わせて加工した足に着けてみる。
吸盤は大きいもので10mmほど、一番小さな吸盤は2mmも無い。
枝の選択は正解。
素材を限定しているので機素の収まりも都度考えていく。
その結果のデザインであり収まりでもある。
蛸は船に襲うというよりか、踊っているようでもある。
それはそれで良しとする事にした。
動画で無いのが残念。
次回の課題も見えた実りの多い製作だった。
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■ 進めている仕事とは関係のないアイディアが突然閃く事がある。
それは永い時間同じ作業を続けている時よくある。
きっと頭や体が欲しての事。
閃いてしまうと始末が悪い。
興味がそちらへ向いてしまう。
そんな時は自分の気持ちに逆らわない。
海で拾い集めた素材で海のシーンを創る・・・・・・・。
そんな閃き。
昨年観た、野間口さんの作品も刺激になっていたのかも知れない。
捲る資料の断片が定着していたのかも知れない。
そんなもろもろが形になりかけていた。
閃きが逃げないようにと、進めていた仕事を中断して机に向かう。
簡単なスケッチを描いてみる。
閃きを定着させる。
動きは想像出来たが少しの不安を残す。
試作してみる事にした。
有り合せの材料を加工する。
何度か修正を繰り返す。
試しに簡単な作品を作ってみる事にした。
それでも材料は二つと無い素材。
100%再生には少し無理があるので、そこは柔軟に。
流木や廃材は背景に。
モチーフは狂いも考慮して市販の材料を使う。
ハーフ・アンド・ハーフと言った感じ。
自然に作られた景色や雰囲気と、作った造形の対比が狙い。
流木や廃材の加工は慎重をきした。
シャフトの墨出しが難しい。
意図としたところへ着地したが、動きは何度か作り直す。
頭で想像してイメージと違った。
試作はその隙間を埋めてくれる。
手と頭はフル回転。
自然発生的に次の閃き。
永い寄り道になりそうな気配。
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■ 少し時間差はあるが、結構リアルなタイミングで更新。
昨日の朝の仕事。
ブロックを外すと四角いシリコンの塊。
2面割りになっている。
注意深く割面をはがし、原型を取り出す。
右側のチューブとパーツは樹脂の注入口。
細かい部分に入り込んだ油粘土や離型剤を丁寧にとる。
彫刻刀やカッターを使って樹脂の注入口と空気穴を加工。
空気穴は頭の最上部に開ける。
この加工が済むと樹脂を注入するのだが、樹脂の分量を計る必要がある。
私の場合は樹脂の代わりに水を使って計量。
実際に型に水を注入してその体積を計る。
今回の型は約50ccほど。
樹脂はA剤とB剤があり、同量を混ぜ合わせると硬化。
A剤とB剤の比重が違うのではじめは多めに混合し調整。
同量、容器に入れたら手早く攪拌。
実験室の研究員の気分。
クランプを使って型が変形しない程度にプレス。
注入口から樹脂を注入。
攪拌してから1分程度で硬化がはじまる。
この作業時間は30秒~50秒程度。
樹脂はまだ透明。
気温にもよるが15分程度で硬化。
硬化すると樹脂は白くなる。
クランプを外し割ると中から樹脂製の顔。
気泡や歪が無いか?
割ってみないと分からない。
緊張の一瞬でもある。
注入口、空気穴も樹脂。
気泡も無く今回は理想的な出来。
この後、注入口や空気穴などの不要な樹脂を外しヤスリなどで仕上げる。
手のシリコン型と抜いた手。
指一本一本に空気穴が付いている。
今回の人形で製作したシリコン型。
この作業がはじまると机の上は・・・・・・・・。
この後も仕事は続く。
整形→組み立て→塗装→布貼り→彩色→髪型加工→衣装・・・・・・・。
まだ半分も来ていないのだ。
が、人形が出来ると仕事は加速する。
今回は創作の裏側を少し・・・・・。
実際はこんな地味な作業の連続。
先にあるまだ見ぬ作品への思いがこの作業を可能にしている。
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■ 今年の創りはじめは人形。
ストーリーは暮れに決めていた。
ボディーから作りはじめた。
胴体、手足・・・・13のパーツにわけて製作。
体の型の製作に2週間。
10日ほど前から顔の製作。
人形制作は自己流。
頭の中に描いたイメージを直接形にするので、私は何段階かの過程をふむ。
油粘土で原型を作る。
手のひらで練りこみながら柔らかくした油粘土を、イメージを頼りに削ったり、足したりしながら形にしていく。
顔の幅が3cmも無いので、少しの削り具合で表情が変わってしまう。
ここは時間をかける。
油粘土の原型から石膏の凹型を作る。
1体の人形を作る場合でも同じ仕事。
型を作る。
出来上がった石膏の凹型にフォルモ(紙粘土)を貼りこむ。
乾燥するとフォルモの凸型の顔が出来る。
最終的な仕上げは布を貼るのでその厚みを考慮しながら整形。
これを仕上げて、作品にする場合もある。
一点モノ。
今回は、この顔をベースに表情を変えたパターンをいくつか作る。
紙ヤスリや彫刻刀を使って細部の仕上げ。
成形が終わったっらジェッソで下地を塗る。
下地が乾いたら、水性のラッカーで下地をとめる。
樹脂成形用の原型の出来上がり。
この原型でシリコンの型を作る。
油粘土に原型を半分埋め、レゴ・ブロックで枠を作る。
シリコンを流しこんで6時間。
明日の朝には型の半分が出来上がる。
この後は次回に・・・・・・。
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■ 11月1日《食育祭 IN ふくおか 2008》当日。
午前8時、食育祭世話役-歯科医のU先生の、荷物を乗せるにはお洒落すぎる車に同乗して会場へ。
到着後、大ホールのステージのディスプレイ。
クリスマスを題材にした手持ちの作品と功労者に送るこだわりの野菜を飾る。
《食育祭》らしい取り合わせ。
飾りつけを終えて西棟の8階、創作工房へ。
ここが今日のワークショップの会場。
ゆとりを持ったスペースにテーブルが7台、椅子が37脚。
昨年は大ホールのステージ前、バルーン・アートとならんで机が2台。
比べれば贅沢。
会場15分前、急いで準備。
前回の経験で、今回は連れ合いも参加。
開場の時間に準備は終了。
『廃品に命を吹き込む「ワークショップ」』・・・・少し気恥ずかしい案内をあげる。
アリーナ棟の大ホールは57のブースで構成された『食べて遊んで わくわく広場』。
西、東棟には食育をテーマにしたセミナーや交流会、展示、ワークショップなど35の企画ブースで構成。
ほとんどのお客さんは大ホールを経由してからと予想する。
思いの通り、ワークショップはスローなスタート。
10時半ば頃からぼちぼち・・・・・それからが速かった。
11時には使えるテーブルは埋まる。
サンプル、簡単な製作図、準備は万端・・・・のつもり。
現場が慌しくなってくる。
「すみませ~ん!ワイヤーがうまく曲げられないのですが?」
「スミマセ~ン!この枝、ここから切って貰えます?」
「すみませ~ん!ペンチ貸してもらえます?」
「接着剤はこのくらいでいいですか?」
質問やお願いが飛び交う。
「スミマセン!スタンプ押して頂けますか?」
《クイズに答えてスタンプをもらって素敵な・・・・》、プレゼントの貰えるスタンプラリーのポイントにもなっている。
連れ合いも、あっちに、こっちに動き回っている。
ある程度の作業が進むとワイヤーや木部を止めるドリルを使っての作業に進む。
少し慣れが必要なので、この作業は私の仕事。
「ここ止めて頂けますか?」
電気ドリルで下穴を開けて、インパクト・ドライバーを使って、ダ!ダ!ダ!ダ!ダ!
「ここに穴、開けてもらえますか?」
電ドルのチャックをゆるめ、必要なサイズの錐に変えて・・・・・・・・・・・・・。
この必要な依頼に答えていく。
万端だったはずの準備に少しずつほころびが・・・・・・・。
待っている参加者がいる。
説明が追いつかない。
オーダーを取りに来ないウェイターを待つような視線を感じる。
「すみません!ほったらかしで!」と私。
何とか場を繕いながら進める。
「スミマセン!この釘の切れないですが・・・・・」年頃のお嬢さん。
蝋燭を立てる釘の加工が出来ないでいる。
ペンチを探して、作品を受け取り、釘の頭を切る。
材料の様子で持ち方が悪かった。
思い切り力を入れたら、掌に痛みが走った。
見たら、掌の指の付け根に8㎜ほどの血豆。
お嬢さんを前に、ここは「グッ!」と我慢。
そんな小さなトラブルもありながら進む。
「もう一台作りたかった!」
「楽しかったです!家でも作ってみます。」
「次回は何時・・・・・」
沢山のお礼の言葉も頂く。
入れ代わり、立ち代わりながら3時間。
去年より多めに準備した材料が無くなる。
「すみません!材料が無くなってしまって・・・・・」
来られる方に頭を下げて謝る。
「あ~残念!もう少し早く来ればよかった・・・・・」
「エ~!もう終わっちゃったんですか?」
少し残念そうな後姿を見送る。
表の案内を早々に外す。
午後3時、ワークショップは盛況のうちに無事?終了。
朝食後、これまで何も口にしていなかったが、不思議と空腹は覚えなかった。
覚える暇が無かったと云ったほうが正しいかもしれない。
午後4時、グラウンドの芝生に座って、遅い昼食。
はじめてのメニューだっが、手ごたえはあった。
創る楽しみを感じてもらえただろうか?
素材の可能性は理解してもらえただろうか?
丁寧にと思いつつも、少し流れ気味に進んでしまった時間に悔いを残すが、面白さを感じて、何かの機会に作って貰えたらと期待。
受付で提供されるパンフレットに私の名前を見つけて訪ねて来てくれた知人も何人か・・・。
連れ合いも、思いがけない嬉しい出会い。
息つく暇もなかったワークショップだったが、充実した面白い1日だった。
参加して下さった方々に感謝!
U先生、お疲れさまでした。
そして感謝!
忙しく、写真が撮れなかったので、私の作ったキャンドル・スタンドをひとつ。
蝋燭の炎が作り出す影を楽しみます。
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■ 久し振りの更新です。
幾つかの仕事が平行して進んでいる。
久し振りにドラフターを使ってプランの仕事。
「今時、ドラフター?」・・・・・それも年期物である。
付属のスケールなどは目盛りの文字が消えている。
骨董に近い。
私はこの内田洋行のドラフターでディスプレイのプランパースを年間400~700案ほど描いていた。
一日平均1、2案は描いていた計算になる。
ピークはクリスマス。
1日5~6案は描いていた。
その結果と言えば格好よすぎるが、満身創痍のドラフターである。
もう使う事は無いと思っていたのだが・・・・・・・。
T定規やドラフターを使っていた頃は、図面にしてもパースにしても、誰が描いたのか一目で分かった。
それぞれのデザイナーが自分の線やテクニックを持っていた。
プランもさることながら、それを伝える媒体としての絵も、味や美しさが在った。
憧れた先輩やデザイナーも居た。
その線や点景を真似て練習もした。
私の中指にはその頃のペンだこが今でも残っている。
被った埃を払いながらそんな事を思い出していた。
時間は残酷である。
そのスピードは衰え、描くのがもどかしい感じ。
アイディアに時間をかけ、伝える媒体としての絵は短時間で・・・・・・。
理想なのだが、何か絵を描くのに時間が掛かる。
かと言って、いまさらPCを駆使するつもりも無い。
結局は現物にちかいサンプルなどを製作する事になるのだが・・・・・・。
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■父親になって22年。
娘には沢山の経験をさせてもらった。
衣・食・住・遊・休・知・・・・・・流行も娘を介していろいろと勉強もさせてもらった。
その言動は家族の良い刺激になったりもする。
この前は急に「大西ライオンのお面を作る!!」と言う。
お笑い芸人 ”大西ライオン”の被るダンボール製のライオンのお面を作ると言うのだ。
訳は聞かない。
休みを利用して、近くのコンビニから貰ってきたダンボールを素材に製作をはじめた。
1個目は少し大きすぎた。
小さめの2個目を製作する。
頭に被って携帯で写真を撮って友達に送る。
友達の反応は上々。
「心配無いさ~~!」と大西ライオンを真似て唄っている。
こちらは大いに「心配さ~~!」と返す。
その娘が連れ合いの刺繍に影響されて、ボーイフレンドの誕生日のプレゼントに刺繍を施したブックカバーを作ると言う。
バレンタインデー にクッキーを焼いていたのを思いだす。
ユニークだった。
やりたい事は止めない。
自分でデザインを決めて、連れ合いのアドバイスを受けながら刺しはじめる。
最初は戸惑っていたが、何か形が見え始めると、連れ合いと並んで楽しそうに手を動かしている。
刺しながら、思いがけない発見に喜んでいる。
4日ほどで仕上がった。
やはり現代っ子、モチーフはボーイフレンドの好きなコミックから。
表紙は「死神サマ」。
4242 564・・・・・「死神サマ」を呼び出す呪文の中に、迎える歳の数22を見つけて色を替える。
裏には聖剣に宿る「エクスカリバー」。
折り返しにメッセージとケーキの刺繍・・・・・・・・。
出来は本人も気に入っている様子。
連れ合いの「優しい刺繍」とは違うが、何か形にしてしまう柔軟さに拍手。
また、面白いものを見せてもらった。
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■ 個展はある意味試行の場でもあります。
作品に対する反応を確かめながら、その感触を持って次のステップに進む。
今回の個展に展示したオートマタでは、その機素の耐久性を試す場になったりもする。
場に出れば、1日数十回は動かされるオートマタ。
多いときは数百回。
過去の仕事では1日16時間、4ヶ月にわたって動かした作品もある。
その耐久性が試される。
私は創作の師を持たない。
が、好きな作品はある。
海外では、キース・ニューステッドやポール・スプーナーの洗練された作品。
流木や廃材が特徴的なロバート・レースのオートマタが気に入っている。
日本の作家であげるなら、3年前、福岡は三菱アルティアムで開催された「現代からくりおもちゃ展」でご一緒させて頂いた西田氏とばんば氏の作品が好きだ。
有馬玩具博物館の館長もつとめる西田氏はこの世界の第一人者。
他の作家に与えた影響は大きい。
思いつく(私が)モチーフやストーリーは全て形にしている様に思われる。
西田氏のハードルは高い。
愛知のばんば氏。
一目でその作品に魅せられた。
その作品はウイットに富んでいる。
起承転結、4コマ漫画のようにストーリーがある。
知的な笑いを誘う作品が好きだ。
アイディアは勿論の事、モチーフのデフォルメ、仕上がりの質・・・・・学ぶところが多い。
今回の個展の作品においても、ばんば氏にはいろいろとアドバイスを頂いた。(試行錯誤項参照)
ばんば氏のHPでは氏の作品は勿論の事、カラクリの仕組みや創作のヒントなどが惜しげなく公開されている。
まだまだ日本では市民権を持たないこの創作を続けられるのも「お二人の存在があるから」と言っても過言ではない。
そんなお二人に肩を並べられる様に、時間のかかる試行を繰り返している。
試行の場ではオートマの耐久性同様に自分も試される。
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■ 既成品で収まらないモノは作らなければならない。
ネジもその一つ。
そのネジ一つで作品の収まりが理想に近づく。
小さいモノはネジ径が2ミリから、大きいものは8ミリくらいまで・・・・。
ダイスを使って軟鉄や真鍮、銅などのロッドを手加工でネジを切る。
切りはじめが難しい。
素材に対してダイスが直角にセット出来ないとなかなか切れない。
手加工だとそのへんが難しい。
知人が紹介してくれた・・・・・角材をドリルを使って丸い棒に加工するHOW TOの映像。
何か使えそうな気がした。
ドリルを使ってネジ切りの加工が出来ないか?
その可能性を試してみた。
昔は街中の配管工事現場でパイプのネジ切り加工をしているのをよく見かけた。
手加工だった。
最近では電動の機械を使っている。
静かに回転する機械でゆっくりとパイプにネジを切っていく。
切りカスがチリチリと渦巻いてオイルに濡れた切り刃の横から出てくる。
配管用のパイプが鋭い山を持ったネジに変わっていく。
その感覚で出来ないかと思った次第。
道具はドリルとダイス。
本来は材料を固定して、ダイスを回転させて切っていく。
今回は3ミリのダイスをホルダーにセットして万力に固定。
試作は比較的柔らかい銅の棒(ロッド)を使ってみた。
ドリルに3ミリの銅棒をセット。
万力に固定したダイスの切口に銅棒を直角に当てる。
はじめはゆっくりと・・・・・。
ドリルのスイッチを入れ、回転させていく。
以外と簡単に切れていく。
手加工だと10~15分くらいかかってしまう8センチほどの長さのネジが1分とかからずに切れた。
結構、呆気なかった。
何本も作りたくなる気持ちを抑えて4本ほど作った。
きっと、誰かが随分前に試したと思うが、少し嬉しい発見だった。
写真も地味でマニアックな・・・・・・・・「だから?」という話。
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■ 今回は塗装メーカーのプロモーションのような話。
その塗装の仕上げを知ったのは、知人のプロダクトデザイナーの原氏のHP。
塗装に関しては、ロンドンのペイント・アーティスト「ニック&クレア」に刺激されてサーフェイスエフェクトと言われる塗装技術を学んだ事がある。
その影響もあって、私のデザインするディスプレイの背景はいつも表情を持った特殊な塗装で仕上げた。
海綿(スポンジ)やポリ袋、布、特殊なゴム型などを筆の代わりに、いろいろな表情をつける塗装の技術の面白さはまった。
作品の彩色も細かい部分は別にして、海綿や布などを使う事が多い。
そんな事もあって彩色の作業は結構楽しい。
反面、木地の木目を生かした塗装は、いろいろと試したが「帯に短し襷に長し」で、なにかシックリとしたものがなかった。
油性塗料の溶剤の匂いや揮発性は狭い仕事部屋で使用するには問題があった。
水性のタイプは比較的扱い易く、仕上がりもそこそこだが、作品の形状や環境の問題もあって、ほとんどが筆塗り。
筆ムラや重ね塗り前の研磨に不満があった。
私の技術の問題でもあるのだが・・・・・。
その塗装は「ソープフィニッシュ(石鹸塗装)」。
勉強不足で私はこの塗装を原氏のHPではじめて知った。
原氏の心使いで、先日工房訪問をさせて頂いた「むっく工房」さんがサンプルを送って下さった。
WENNEX(ヴェネックス)と名づけられた、この石鹸塗装の説明書には「扱いも簡単で健康や自然を守る・・・・・・・安心な表面保護剤」
期待させる文面が並んでいた。
試すには絶好なオートマタの作品を制作していた。
「試し塗りは理想的な環境で」と思っていたので梅雨明けを待った。
雨の日に水性塗料を使って、作品全体が「白濁」してしまった経験がある。
そんな事で週末の晴れた日に試した。
作品のキャラクターは彩色と古布で製作した衣装などでそのキャラクター性を表現。
フレーム、カム、歯車、シャフトなどのメカ的(機素)な部分は、主役のキャラクターとの効果を考えて基本的には木地仕上げ。
メカの構造部分は木地仕上げ以外に考えられないのだが、調整などで頻繁に手で触れ、結果的に汚れてしまう事がある。
また、日焼けやメンテナンスも気になっていた。
で、歯車やカムを支えるフレームを「ソープフィニッシュ」で塗装してみる事にした。
白と黒のシンプルなパッケージにはAとBの2種の塗装剤。
透明、ほとんど匂いもない。
無味無臭と言いたいが、舐めてはいない。
フレームの材料はレッドシダーとトガ、ヒノキ・・・・・・。
素材のサンプルのようなフレームになっている。
既成の材料から寸法優先で選んだ結果。
サンドペーパーで仕上げたフレームにAをまんべんなく塗る。
ハケでもスポンジでも布でも・・・・・。
慣れた道具に親しみを感じた。
大きさと形を考慮して今回はハケ塗りに。
普通の水性塗料に感じる粘度もない。
ほとんど「水」。
筆ムラも気にすることが無い。
塗ると言うよりか「水」を素材に染み込ませていく感じ。
作業時の緊張したストレスも無い。
2時間ほど乾燥させた後、サンドペーパーで研磨。
表面上は自然木のそのまま。
研磨と言っても軽く毛羽立ちを押さえる程度。
普通の水性塗料にみる、極端な毛羽立ちも無い。
研磨後、Bを同じ様に塗る。
2時間乾燥。
乾燥後、研磨。
塗装、研磨、塗装、研磨・・・この4工程だけ。
塗っていない素材と比べてもその違いは判別出来ない。
仕上がりは理想的。
日焼けや永い時間における変質などはまだ確認は出来ないが、その作業工程の手軽さと仕上がりは、かっての塗装と大きな違いを感じる。
違う素材のフレームも試した。
少し濃い色の木肌(試したのはアガチス)の場合は少し白けた感じに仕上がったが、木肌そのままの仕上がりを期待する塗装剤としては理想的。
原さん、むっく工房さん・・・・・ありがとうございました。
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クリーナー=掃除機=吸塵機・・・・・吸塵鬼。
オヤジの駄洒落の様に思いついた。
変身ものに出てくる悪役みたいな字面。
ゴミを出す輩を叱咤する鬼。
叱咤しながら塵を食らう。
そんな鬼が居ても良い。
モヤ~と作品のイメージが・・・・・・。
■ しばらく掃除機無しで頑張ってみようか・・・と思ったりもしたが無理。
小さなパーツを細目のペーパーで軽く擦っただけで手元が粉塵で煙る。
休日に近くの電気屋とホームセンターを回ってみた。
ステンレスのブロー機能を備えた業務用の吸塵機にも誘われたが、大き過ぎるので断念。
吸い込み仕事量もガタイのわりには低かった。
3軒目のホームセンターRで適当な掃除機を見つけた。
前のモノより一回り小さいが、吸い込み仕事量も大きく、値段も手ごろ。
早速持ち帰って運転。
音も小さく、吸い込みも3段階の調節。
満足の買物。
で、前の掃除機のデザインでは出来なかった、吸い込み口のスタンドを製作する。
スタンドと言っても、ホースの径に合わせた穴を開けた厚手の板を、10mmほどの厚みの幅板にネジで止めただけのモノ。
が、これが結構便利。
いろいろな場面で活躍する。
作業机の上にセットして・・・・・。吸い込み口は前の掃除機のパーツを改造して使用。
ボール盤に。研磨や穴開け加工で出る粉塵を・・・・・・。
テーブルソウには付属のアダプターで・・・・・
あまり効果が無いので横のパネルを開けて直接。
たかが掃除機、されど掃除機。
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■ 簡単に収まると思っていた。
作品の背景に聞かなくなった古いレコード盤。
このレコード盤をラップのリズムにあわせて回転させたいと思った。
人形を動かしている主軸から、レコード盤を回転させる軸まで距離がある。
プーリーを製作してベルトで繋ぎ、簡単に回転させられると思った。
ダイレクトに繋いでみた。
回転はするが、何か不自然。
下のプーリーが回転する・・・・・・
一間置いて上のプーリーがクルッ。
あれっ?いっこく堂の腹話術の様に回転が遅れてくる。
少し無理があるよう。
皮のベルトは既成でサイズが決まっている。
ベルト自体は調整出来ない。
今度は中間にプーリーをWでセツトして2段繋ぎで調整してみる。
前よりは良くなったものの、いま一つ動きに満足がいかない。
皮ベルトが悪いのか?
オートマタでは名の知れた名古屋のB氏がスプリング・タイプのベルトを使っていたのを思い出した。
声も聞きたかったので電話で問い合わせてみる。
私の拙い質問に、商品名、購入先の名前、住所、電話番号、商品のデーターなど、懇切丁寧に教えて頂く。
答えに無駄が無かった。
「サンプルを送ろうか?」とまで言って頂いた。
が、そのスプリング・タイプのベルトは長さが20センチしかない。
現状では45センチほどの長さが必要。
また、このタイプは時々スリップするとの注意。
そう言えば有馬のN氏の新作の話にも「スプリング・タイプのベルトが滑る」・・・・そんな事を言っていたことを思いだした。
少し思考する時間が必要。
回転と決めていたが、アクションのある動きでもと思いついた。
シャフトを使ってスクラッチの様な動きをと・・・・・・。
パーツを製作。
ハンドルを持って回転させてみる。
動きもスムーズでアクションにも変化があって何か良い具合。
簡単には収まらなかったが、収まるところに収まったという感じ。
このオートマにはこのレコードの回転を含めて6箇所に動きがある。
試行錯誤の繰り返し。
製作の過程もここに行き着く為の必要な時間・・・とポジティブな思考。
時間もかかるが、それだけに完成した時の喜びも大きい。
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■ 予兆はあった。
数日前から少し気になる発熱。
何かすえた匂いもする。
前日はそれでも仕事をこなした。
その日、不思議なもので予感はあった。
手元のボタンを押しても「ウン」とも「スン」とも言わない。
7年ほど使った掃除機の話。
私はこの掃除機を仕事でも使っていた。
樹脂や木で製作したパーツの研磨や整形。
糸鋸やボール盤での加工。
この時に出る素材の粉塵・・・・狭い仕事部屋ではこの粉塵を吸い込む為に掃除機が欠かせない。
多分、家庭で使用する時間の5~6倍は使っていると思う。
単純に考えると普通の家庭で40年以上使った計算になる。
壊れるのも無理はない。
ホースなどは痛々しい限り。
丁寧に解体した。
基盤やコードの端子、隙間にびっしりと埃が溜まっていた。
7年間の仕事量を象徴する様。
綺麗に埃を掃除してモーターなどの部品は解体分別した。
各部品を止めていた美しいネジ。
部品は何時か作品に使う事になるだろう。
傷つき、軽くなった本体は次回の「燃えないゴミの日」に・・・・・・。
ご苦労さまでした。
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■ オートマタの新作を製作しています。
面白いアイディアと自画自賛して取り組んだものの、一つ事を進める毎に問題発生。
機素は既成のPWや木材を加工。
人形は樹脂をベースに古着の衣装。
ハイブリットな素材の組み合わせ。
難しい選択をしている。
このハイブリットな素材の組み合わせが、製作に様々な難問を突きつけて来る。
樹脂の重さ・・・強度は欲しいが重さはいらない。
重さや強度を調整する充填剤で調整する。
強度と重量は正比例する。
適当な軽さ、適当な強度。
その兼ね合いが難しい。
裸でスンナリと動く人形も衣装を着せた途端に動きが鈍くなる。
誰もやりたがら無い事をやっている。
人形の大きさは高さ15cmも無い。
布の密度は人の着るそれと同じ。
スムーズに可動する方法を考える。
鉛のオモリを溶かして理想の形状、重さに加工する。
考えては試す。
試しては修正する。
修正しては試す。
四六時中作品の事ばかり。
そのプロセスは決して苦しいものではないが、根気比べの様相。
しばらくはこんな毎日が続きそう。
出会えるであろうその結果の為に・・・・・・・。
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■今年の創作のテーマの一つに不要になった素材を使ったオートマタがある。
オリジナルな方向を目指してのテーマ。
テーマにして取り掛かったものの、これが結構手強い。
素材が先にあるので、その重さや大きさもバラバラ。
都合の良い素材など滅多に無い・・・・・・。
手回しで動かすオートマタには大きさや重さに限度がある。
軽いものはよい。
重たいものが問題。
単純な動きにも大掛かりな機素が必要になったりする。
素材と動き・・・・・・ぎりぎりのせめぎ合いの中で試行錯誤している。
そんなオートマタの製作に必要な歯車を製作する。
製作したのは、ピン面歯車という、少しクラッシックな歯車。
スピードを変えたり、回転の方向を変えたりと、使い方では便利な機構。
スムーズに動かす為には正確に製作する必要がある。
で、この歯車を製作する時に活躍するのがボール盤。
穴を正確に開ける為に使われる電動工具だが、私は様々な使い方をしている。
歯車の素材は厚さ9mmの榀ベニヤと直径3mmの竹の棒。
榀ベニヤを円形にカットする。
糸鋸を使う事もあるが、この円形カッターを使うとほぼ正確な円が切れる。
次に円盤を写真の自作の道具を使ってチャックにセットし、回転させて小口をヤスリで仕上げる。
次に3mmの竹ピンを取り付け為の穴を開ける。
これも5mmの深さに正確に開ける為にボール盤にストッパー用のクランプを取り付ける。
ハンドルがストッパーにカッチと当たったところで深さをセット。
目盛りも付いているのだが、ちょっとした勢いで深く開けすぎたりする。
これだと、間違いなく任意の深さでドリルの刃は止まる。
次は3mmの竹ピンの加工。
歯車をスムーズに回転させる為に竹の先端を丸めておく必要がある。
20mmにカットした竹をボール盤のチャックに直接セットする。
ヤスリを使って先端を丸める。
これで材料の加工は終了。
次は組立。
竹のピンを円盤に取り付ける。
深さ5mmの穴に竹ピンをセットする。
全ての高さを揃える必要がある。
木槌で叩いて取り付けても良いのだが、相手はベニヤなので微妙に入り過ぎる事がある。
そこでチャックに適当にカットした直径10mmほどの鉄棒をセットする。
任意の高さ(ここでは15mm)で鉄棒の先が止まるよう、穴あけ同様にクランプのストッパーで調整する。
ここではボール盤を回転させない。
ハンドルを回してピンを穴に押し込む。
手では加工しにくいピンもボール盤の力で簡単に正確にセット出来る。
工具も使い方次第である。
カツターを使ってボール盤で、プーリーと言う円盤の小口に溝があるパーツを加工する人を知っている。
ボール盤を旋盤代わりに使っているのだ。
これは危険すぎて私には出来ない。
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■ 少しマニアックな話。
暮れから取り掛かっていたオーダーの作品も終盤へ。
素材もいろいろ、パーツも細かいモノを入れると100以上。
パーツの加工は牛の歩みだが、これがある時点から急速に形になっていく。
少年が空を飛ぶオートマタのパーツ。
真鍮の骨組みに和紙を貼った翼が特徴。
主翼には同じ翼の形にカットした和紙が4枚。
型紙を当てて、カッターで4枚同時にカットする。
シワの加工を施した和紙なので、小さなカーブは難しい。
カッターの刃を直角に入れないと、上下の大きさが微妙に違ってくる。
40枚ほど加工しなければならない。
少し大胆な発想をしてみた。
以前に厚紙を糸鋸で加工した事を思い出した。
電動の糸鋸と言えば、大体が木材や金属などの曲線加工に使われる。
刃の種類を見ても、木材、アルミ、真鍮、鉄、ベニヤ・・・・・。
和紙は見当たらない。
紙は元々は木。
木材を加工する電動の糸鋸で加工出来ないはずは無い。
和紙を40枚、パイ生地のように重ねて・・・・・・。
寸法にカットした和紙の端を接着剤で一枚一枚、アイロンでプレスしながら重ねていく。
40枚で5~6ミリの厚さ。
それを厚紙で挟む。
サンドイッチのように。
細めの刃でゆっくりと切る。
出来は上々。
カット面もカッターのそれと変わらない。
1枚目と40枚目の大きさも同じ。
小さなカーブも綺麗に仕上がった。
後は私の技術の問題。
和紙を電動糸鋸で切る?
?と思うような事でも試してみる・・・・・・。
いまだにそん事の積み重ね。
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■ 機素を正確に作る事はオートマタ製作の絶対条件。
正確に作る為にそれなりの技術と工夫が必要。
木工、金工、塗装、樹脂加工・・・・・私の場合どれも我流。
技術はあてにならない。
治具を作って稚拙な技術をカバーする。
本などを参考にしながら、私なりの工夫。
相手は手強く、いまだに悪戦苦闘。
治具・・・・・部材などを正確に加工する為に用いる補助道具。
鋸で正確に直線を切る為の治具などはホームセンターなどで入手可能。
作品によっては自作する必要がある。
複雑な形のものに正確に穴を開ける為のモノ。
決まった位置に正確に部材をセットする為のモノ。
同じ寸法を何点か正確にカットする為のモノなど・・・・・・。
複数同じものを作る場合は治具を製作しておくと作業がスムーズに運ぶ。
私の仕事場で活躍している工具にプロクソンというメーカーの「サーキュラソウ」がある。
卓上用の小さな丸ノコ盤である。
ブレード(刃)も何種類かあるのだが、小さい部材が多いので細かい刃の“木工用のブレード”を使っていた。
しかし、このブレードは少し硬い木や厚みのある部材になると悲鳴を上げる。
厚いと言ってもt20mmくらいなもの。
悲鳴を上げて煙まで出す事がある。
先日などは下に溜まった鋸屑に燃え移るのではと心配したほど。
少し揺れも出てきて、切った断面が正確でない。
替え時かなと思い、カタログで見つけていた“木工・アルミ用チップソウ(超硬)”を選んだ。
“超硬”にも惹かれた。
値段も木工ブレードの3倍。
期待が持てる。
機会なので、安全で正確にカットする為の治具を製作する事にした。
プロダクト・デザイナーのH氏も自作の治具を使って魅力的な家具のモデルを製作している。
少し刺激されている。
榀ベニヤの裏に、本体にある2本のスライド用の溝に合わせて8mm×2mmの部材を接着。
ベニヤはこの溝に沿って前後にスライドする。
刃の直角にあわせて、ベニヤの2方にt12mm×60mm の角材を取り付けた。
刃がスライドの溝と平行とは限らない。
工具が正確に作られているとは考えない方がよい。
言い方を変えれば正確では無いと考えた方がよい。
ここを正確にしないと全てが狂う。
刃と手前の角材との直角を慎重に調整する。
何度か試し切りをしながら直角をあわせる。
手前の角材に定規をセットする。
部材を置いて試し切り。
チップソウの切れ味も理想的。
直角の金手を合わせてみる。
嬉しいくらいに正確。
角度をつけた別製のパーツをセットすれば、同じ角度のカットが容易に・・・。
小さいモーターといえども、切った材料が後に飛んでくるキックバック。
この治具だとそのキックバックも無く安全。
溝をスライドする部材が木なので、しばらく使えば狂いは出てくるだろう。
だが、ここしばらくは単純な作業も楽しめそう。
多分、このソウを以前から使っている人にとっては当たり前の事なのだろうが、少し嬉しい治具の完成。
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■ プチ手術から10日ほど。
腫れも鬱血も治まって、普段の顔に。
お見舞いのメールやコメントを頂いて恐縮です。
「お目舞申し上げます!」
シャレの利いたお見舞いのメールも。
ご心配かけました。
休日返上で少し遅れをとった仕事の追い込みを。
予想していた事だったが、年末の「個展」のオーダーに手こずっている。
同じ作品を幾つか制作。
自由に創った一作目とはやはり「気持ちの乗り」が違う。
素材、寸法、仕上げ・・・・創ったモノに縛られ不自由になる。
この不自由さが苦痛になる。
「気持ちの乗り」を上げる為に新しい課題をつくる。
何か創造的な要素が有れば、苦痛は楽しみに変わる。
気になっていた詳細を変えたり、パーツの原型を創り直したり、治具を製作したりと・・・・・・。
一つを変えると、他も気になってくる。
多分、見た目は変わらないだろうが・・・・・・・。
効率の悪い事ばかりを選んでいるようだ。
が、「気持ちの乗り」は加速する。
益や効率・・・・・必要な事と分かってはいるが、違ったところで戦っている。
かけた時間や苦労より「楽しんだ気持ち」を受け取って貰えればと・・・・。
仕事を「楽しく」と言う贅沢な悩み。
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