製作中・・・・・・
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■ ノープランだったこの連休。
結局は仕事場に通う。
人が休みの時に仕事をする。
余計な邪魔が入らない。
なかなか気持ちが良いものである。
決して負け惜しみなどではない。
決して・・・・・・・・。
今回の秋の演出の仕事では商品の提案もさせて頂いた。
仕入れだけでは他店と同じようなモノが並んでしまう。
プラーベート・ブランドが開発出来れば理想だが、そこはまだハードルが高すぎる。
出来る事・・・・・・・そんな事で私たちも秋のストーリーに沿って少しだが作品を製作。
演出のデザインでモチーフにした茸をスタンドに・・・・・・。
ストーリーを持つ事で見つけたモチーフ。
連れ合いも刺繍で参加。
「豊かな森」がストーリー。
栗、柿、紅葉・きのこ・・・・・・秋の森を彩るモチーフ。
栗をモチーフにした刺繍を施した巾着。
栗のリースは珍しい。
ストーリーがあってのデザイン。
裏地にもこだわっている。
栗と紅葉をモチーフにした刺繍の巾着2点。
紅葉の刺繍をポイントにした小物入れ。
萩となでしこの刺繍を施した巾着。
萩の刺繍をポイントにした小物入れ。
桔梗とおみなえしの刺繍を施した巾着。
こちらも試行錯誤。
新しい試みにブレーキをかけぬように可能性を模索中。
興味のある方は『お仏壇のはせがわ』川端店へ。
館内にはいたるところに著名な作家の作品が並び美術館のようでもあります。
4階にあるプラチナの茶室も必見。
実際に茶会を開いています。
東京銀座店には金の茶室があるとの事です。
11月23日よりに開かれる、美術運動体「九つの音色」による「祈りの継承展」も見ものです。
思うよりハードルは高くありません。
気楽に店内を散策してみて下さい。
歓迎してくれると思います。
機会がありましたら是非・・・・・・・。
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■ コンセプトワークからはじまった秋冬の演出計画。
先週末からの現場設営を終え、店内を豊かな秋の色に染めています。
設営のパートナーはS工房を主宰するOさん。
Oさんとの付き合いは20数年。
銀座資生堂の芸術的なウインドウ演出を施工していた事で知られているG工房。
G工房はクリエーターのハードルの高いオーダーを形にする事で評価されていた。
Oさんはその仕事を学びたいとG工芸に入社。
十二分な経験をつんで帰福。
その経験を生かし、自ら工房を開く。
G工房との関係もあって、あのルイ・ヴュトンのウインドウも手がけていた。
その質もさる事ながら、女性ならではの細かい配慮と気遣いが現場を円滑にする。
『Oさんでなければ』とデザイナーや施工業者のファンも多い。
信頼のおけるパートナーに支えられての仕事です。
光る樹は私が担当。
実りのアレンジはOさん。
色は効果的です。
夏の色から秋の色に・・・・・・・。
ちょとしたVPのシステムを導入しています。
他店でもこの色、この素材が効果的に使われています。
5メートル以上もあるタワー。
高い場所での作業も慣れたもの。
タペストリーの取り付けもOさん。
紹介した2店の内装デザインはスーパーポテトで杉本貴志氏と活躍していた高取邦和氏です。
厳しい視線を背中に感じての仕事でもあります。
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■ 吹き抜ける風が次の季節の訪れを感じさせる。
衣替えの時期。
店舗のディスプレイも夏から秋へ・・・・・・・。
仕事は重なる。
幾つかの現場が同時に進行。
考えていても前に進まない。
決まった仕事から片付けていく。
週明け、朝早くから知人Y氏の鉄工所。
オブジェのフレームを製作。
図面では描けないような感覚のデザイン。
現場のちょっと複雑な形状。
確認の図面や模型は造ってみたが、リアルな大きさで造ってみないと分からない。
何度か電話でのやりとりはしたが、模型や図面らしきものを前に説明を繰り返す。
デザインに関わる部分、曲げや切断などは私が担当。
Y氏は技術的な仕事を・・・・・・。
暗黙のうちに決められた分担。
4~6mm径の丸鋼が今回の素材。
ベースになる部分から加工。
石墨で原寸のデザイン。
素材を白墨のデザインに沿わせバーナーで熱しながら曲げていく。
治具を使って寸法の確認。
大事なところ。
Y氏の手を休めないように部材を加工していく。
汗が流れ落ちる。
水分を補給する。
嫌ではない。
こんな仕事の感覚が好きだ。
何かやってる感じがする。
狭い仕事場では味わえない、スピードとストローク。
午前中でベースになる形は出来上がる。
午後からはディテイールに取り掛かる。
ここからはフリースタイル。
横に置いてある模型は気休め。
その場のデザイン。
直感的に形を決めていく。
曲げた鉄の棒を意図した場所にセットするとY氏が手早く溶接。
繰り返す。
必要な会話だけで黙々と続ける。
溶接の箇所は250箇所以上。
時間を見ると5時を少し過ぎていた。
今日の予定はなんとか達成。
心地よい疲労感。
慣れたY氏は涼しい顔。
まだ仕事は始まったばかり。
月中の現場に向かって奮闘中・・・・・・・。
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■ 少し慌てていたのかも知れません。
小さな部材にドリルで穴を開ける為に目打ちで印を付けようとした時です。
2cm四方の小さな木のブロック。
バイスで押さえればよかったのかもしれません。
部材の中央に目打ちの尖った先端を当て、持った右手に力を入れた瞬間、部材が割れ、何故か部材を押さえていた左手の人差し指に目打ちの先端が直撃。
「やってしまった!」
ドリルの刃が木の目を嫌ってずれないように少しきつめに印を付けようと、目打ちを持った右手に遠慮はありません。
瞬間、痛みはありませんでした。
指先を見るとは小さな点が・・・・・・。
ほっと胸を撫で下ろした瞬間、その小さな点から血が滲み出て、それは指先を覆い、見る間に掌を染めました。
台所に走り、消毒、血をふき取って素早くバンドエイドで止血・・・・・・・。
言うほどに素早くはありませんでした。
右手だけでバンドエイドを箱から出し、紙を剥がして貼るのは容易ではありません。
もたもたしていると指は直ぐに血に染まります。
ポタポタと落ちてシンクに残った水を赤く染めます。
何か情けない感じになってます。
痛みが来たのはその頃からでした。
心臓の鼓動に合わせてズキン!ズキン!と・・・・。
しかけた作業を止め、夕刻までは資料の整理。
製作の時間が無くなると気持ちはあせる。
夜に襲った腕のだるい痛み。
愛読している夕刊の連載小説に錆びた釘を踏んで破傷風で死んだくだり・・・・・・。
気持ちはブルー。
さっさと寝る。
翌朝、バンドエイドを剥がしてみると、恥ずかしいほどに小さな傷。
目打ちの先が5mmほど突き刺さったよう。
昨日の血はどこから出たの?
傷口を押さえれば痛いが、昨日の痛みは治まっている。
仕事に支障は無さそうな気配。
集中力に欠けていたのだと反省。
「忙しい時こそ」・・・・・この先への警鐘だと受け止める。
包帯を巻いた痛々しいH氏の指を思い出した出来事でした。
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■ 休日返上で製作に励んでます。
今月末の展示会の作品です。
材料は能古の浜辺で拾い集めた流木や端材です。
2つと無い材料です。
出来るだけ無駄の無いように使います。
適当な流木を電動糸鋸でカットします。
不安定なので加工にはかなりの注意が必要です。
仕上がりのデザインを考えてカットします。
丸木船です。
ドリルで彫り加工をします。
ここではいろいろな道具を使います。
右から切り出しの小刀、ルーター(プロクソン)、電動彫刻刀(リョービ)、彫刻刀、etc・・・・
仕上げは紙ヤスリです。
形が特殊なのでそれ用の道具も工夫します。
結構手間のかかる事をしています。
材料は無駄の無いように使いきります。
船を操る人はカットした残りの材料を使って切り出します。
その材料で他のモチーフも加工します。
料理に似ています。
材料は使いきりたいと思っています。
その工夫が作品の味になったりします。
明日に向かって漕ぎ出す・・・・・そんなストリーの作品の出来上がりです。
後ろに見えるはずの能古の島、今日は霞んでいます。
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■ 陽を受けて、積まれた石垣の石が温まるとその隙間から顔を覗かせていた。
艶の無い褐色の鱗を持ったカナヘビや玉虫色に光るトカゲ。
遊んだのは少年時代の思い出。
怖がるような事は無かった。
掌に乗せ,その細部を観察した。
子供の悪意の無い無邪気な好奇心だった。
強い生命力を持った原始の姿は、何か惹かれるものがあった。
そんな事もあってか、創作をはじめた頃にトカゲをモチーフにした作品をよく作った。
真鍮のワイヤーで作った一輪挿しがはじめだった。
石をベースに試験管を水入れに使った。
着色したフォトフレームには真鍮の板を加工した。
和紙の照明スタンドには同じ和紙を切り抜いてシルエットに・・・・・・。
いろいろとアレンジした。
世紀末のデザインを感じていた。
左のトカゲの絵は1992年に開催した個展に使ったDMの原稿。
針金と真鍮板を素材にしたトカゲの作品を個展のイメージ・キャラクターとした。
イラストレーターの土器氏からプレゼントされた贅沢な案内を会場の表に設置した。(写真右)
壁面に並べた一輪挿しにはバラの花を生けた。
一輪挿しは追加のオーダーを受けるほどだった。
意外な反応に驚いた。
この個展をはじめに、その後もいろいろと手を加え個展の度に発表した。
風軒さん(U工房にて-Ⅱ)に影響された鍛造風のような仕様の作品も試した。
糸鋸で加工した素材を火であぶる。
金属は柔らかくなる。
金床に乗せて専用の金槌で加工。
鎚目のついた金属は緩やかな膨らみを持ちながら硬度を増す。
再びバーナーで焼きなます。
金床に乗せて叩く。
繰り返す。
気持ちは鍛冶屋・・・・・・・。
鉄を素材にしたモノはそのリアリティに年配の方は眉を顰めた。
真鍮を素材にしたモノはアクセサリーのような感覚で女性にも受け入れられた。
家を守るヤモリと重ね合わせ、壁に飾る方も多かった。
カフェの壁にトカゲだけを飾りたいと、変わったオーダーも受けた。
仕様を変えて製作した。
壁の高い場所、目線を外した位置に取り付け、発見した人だけが味わえる驚きを意図としていた。
その洒落っ気が嬉しかった。
仕事場には程よい風合いに仕上がった試作品を残すだけだが、初心を思い出させてくれる作品である。
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■ 「仕込みが8で現場が2」・・・・・先輩の口癖だった。
仕込みの8は十二分。
仕事の仕上がりもさる事ながら現場での作業もスムーズにしたい。
現場の2の部分を円滑にする為に準備をする。
準備が万全ならば、落ち着いて作業に取り組める。
落ち着いて作業が出来れば仕上がりも期待出来る。
現場での仕事の順序を辿って、想定出来る事に対応出来るように準備をする。
先週、時間の限られた夜の現場。
照明を内臓したオブジェの取り付けと配線が主な内容。
平行ビニール線、閉端接続子、プラグなどの材料。
工具のニッパー、ワイヤーストリッパー、圧着工具、ドライバー、ETC・・・・・・。
配線だけでもいろいろと準備。
電動のドリルも含め様々な工具や補修用の塗料まで。
工具箱はそこそこの重さになる。
その重さが安心感にも繋がる。
準備は万全。
現場にはなにも不安は感じていなかった。
オブジェの設置場所は水をはる事の出来る特別なステージ。
中央に排水用の栓。
栓はパイプ、ゴムホースに繋がれている。
露出する配線をシンプルにと、この排水用のパイプとホースを通して結線。
パイプとホースの径は3cm近くある。
大きさは確認済み。
1.5mほどの長さのホースの中をビニールコードを通す。
この楽勝と思っていたホースの中にコードを通す作業が上手くいかない。
このゴムホースが曲者だった。
緩やかに曲がった部分のゴムの抵抗にあってコードが進まない。
オブジェの本体は1cmにも満たないパイプの中に同じコードを通している。
ホースはその3倍近い径を持っている。
針金をリードに使って試すがうまくいかない。
予想しなかったつまずき。
万全との思いが強かった分、気持ちが焦る。
作業ははじまったばかり。
準備した針金では硬度が無いと、急遽、太めの針金を手配。
ゴムホースの抵抗は思いのほか手強い。
手配した太めの針金もホースのその抵抗にあって前に進まない。
配線が出来なければオブジェに灯りが入らない。
想像はしたくなかった・・・・・・・。
ホースはグリーン色だが中が見える。
針金の先は残すところ50cmほどのところまで何とか辿りついた。
「排水に支障は無いので、そこでホースを切ってもかまわないヨ」・・・担当の方の言葉に救われる。
不覚だが随分と困った顔をしていたんだと思う。
針金の見えるところでホースを切る。
針金が通ってしまえば、後は簡単。
針金にコードを繋いで引く。
コードはいとも簡単にホースの中を通る。
する事に同じ事は無い。
万全とは言え、多少の問題が起こる事はいつも覚悟している。
が、今回の思いもよらぬつまずきに、久しぶりに慌てた私。
仕事は予想の仕上がり。
経験の無い静かな空間に作品が浮かぶ。
見慣れたはずの作品だが新鮮。
仕事の苦労は話さない。
「大変だったネ!」などと言われるとがっかりする。
どんなに苦労しても何もなかった様に涼しい顔をしていたい。
「上手の手から水が漏れる」・・・・・過信や思い込みはいけない。
今回は戒めも含めての報告。
P・S
店頭の演出。
この配線も一苦労。
が、苦労の介はあった。
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■ U工芸のIさんはA工芸社に勤めていた当時、時間を見つけて会社から少し離れた鍛造の工房にも通っていた。
鍛造の技術を勉強していた。
何百本ものパイプを曲げた後でも、時間があれば出かけていた。
Iさんの紹介で我々も什器の製作依頼で何度か訪れた。
この知られた工房の主人も型にはまっていなかった。
黒の作務衣に黒の手甲。
長く伸ばした髪・・・「只者ではない」そんな雰囲気を漂わしていた。
真っ赤に焚かれたコークス。
その中に鉄のムク棒を入れる。
タイミングは鉄の焼けた色で分かると言う。
天井の高いその工房には鉄を打つ機械が備えられていた。
少し意外な気がしたが、高齢な職人には必要な機械だったのかもしれない。
ズン ズン ズン ズン・・・重くはあるが軽快なリズムを刻む。
加減は足元のコントローラーで。
巧みに鉄の塊を動かして行く。
鎚目がついた鉄は再度コークスの中に。
鉄は熱によってその硬度を落とす。
ここからは機械に頼らない。
絶妙なタイミングで取り出された鉄は、金鎚やヤットコ、治具を巧みに使って唐草やたまねぎと呼ばれる鍛造ならではの造形に仕上げれていく。
角のムク鉄にネジリを入れていく。
まるで飴細工の様。
昆虫やカタツムリなどの造形も鉄の塊からいとも簡単に作り上げていた。
金属は叩くと硬くなり熱くなる。
小さな金属魂をヤットコで挟み金槌で角を叩く。
金属はたちまち熱くなる。
客人がタバコをくわえる。
タバコに熱くなった鉄を近づける。
煙が立ち上る。
正しく叩かれなければこうはならない。
熟練の証。
有名なY電気のオリジナルの装飾照明も手がけていた。
仕事中は人を寄せ付けない気を発しているが、仕事が済むと別人。
黒の巾着袋を持って我々を寿司屋に誘う。
巾着袋の中には100円玉がぎっしり。
寿司屋の勘定を100円玉で払う。
主人の「洒落」なのである。
人を驚かせたり、楽しませたりするのが好きだっのかも知れない。
仕事の確かな主人は悪戯が好きな職人でもあった。
主人の名は風軒。
フウケンさん、フウケンさんと呼ばれていた。
ムクの鉄棒を曲げて叩く・・・・装飾的なスタンドの足に。
角鉄を叩いて矢じりの飾り。
バラや竹の装飾も得意。
Iさんの仕事に鍛造の匂いがあるのはそんな経緯から。
時代の要求とは違うかもしれないが、「わが道を行く」。
私はそんな職人さんに敬意をはらっている。
P・S
この頃出会った木工所「M製作所」。
この主人はゼロ戦の木部構造を製作していた。
我々が頼んだモノ。
厚さ9mmの木を素材にした30cm四方シンプルなサイコロ。
6面ではなく、中抜きの4面。
面には荷がかかる。
補強の金具や釘を一切使わずに製作。
勿論、鋸とノミ一つで。
蟻組継ぎ。
今では機械で容易に加工が出来るのであろうが・・・・。
その精密な仕上がりに驚いた。
A工芸社の社長もフウケンさんもM製作所の主人も随分昔に鬼門に入ってしまったが、出会った記憶は新しい。
その技術にはとおく及ばないが質の目標としている。
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■ 久しぶりに仲畑にある知人の鉄工所U工芸に。
作品のパーツの製作。
仕事は任せたいのだが許して貰えない。
私が参加する事を当たり前としている。
勿論、その事に問題は無い。
今回も原寸図、パーツの加工を担当。
鉄工所独特の鉄やオイルの匂い、溶接の火花、ガスの炎・・・・そこに居るだけ良い。
工房の雰囲気を楽しみながらU工芸の主人Iさんと出会った昔の事を思い出していた。
Iさんとは40年らいの付き合い。
はじめての出会いは東京。
Iさんは什器や装飾金物を製作する亀戸に在ったA工芸社の職人として働いていた。
ここの社長の話。
A工芸社には什器の製作依頼で何度となく訪れていた。
工場の上にある事務所は畳敷き。
大きなガラスケースが目を引く。
はじめて訪れた時は驚いたが、ケースの中にはワニが棲んでいた。
社長の趣味。
社長はスポーツ新聞と赤鉛筆を片手にラジオに繋がれたイヤホーンを耳にしている。
何時もの事。
我々が来たのを知ると、体は私達の方に向けてくれるが神経は中継されているレースに集中。
社長の顔が変わり、イヤホーンが外されたところで打ち合わせがはじまる。
見逃さない、聞き逃さない・・・・社長は集中する。
レースと同じ。
質問を重ね、我々の意図するところを理解する。
助言や提案・・・・積み重ねられた経験でベストを探していく。
力強いパートナーであった。
この工場で作られる什器や装飾金物の数は並の数では無かった。
一つのデザインが万単位で作られていた。
唐草模様を曲げる為のベンダーも自ら開発した。
その頃、その界隈にはそんな型破りな経営者や職人さんが多くいた。
私はこのA工芸社でリアルな金物のイロハを習う。
「この径のパイプはこの曲げが限度。」
「綺麗に曲げるにはパイプの中に砂を入れて曲げる。」
「この鉄板の厚さでは熱を当てた時に歪むヨ!」
「ここは印籠継ぎで・・・・」
「メッキが綺麗に上がる様にここに穴を・・・・・」
いまでは当たり前のような事を稚拙な図面を前に教えてくれた。
型破りな職人さんたちは優しくもあった。
40年近く前の話。
年中無休で工房に通うIさん。
仕事が好きなのか?工房が好きなのか?・・・聞いた事はない。
朝も早い。
5時には家を出て工房に向かう。
子供のように笑う。
「-を+に」
「常に考える」
「間を取る」
「挑戦 実行」
「実行」
工場の壁には忘れまいと、教訓の言葉が並ぶ。
心優しいアナログな職人はポジティブな精神の持ち主でもある。
A工芸社に居た頃と変わらない。
そんなIさんに助けられて、予定の製作を無事終了。
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